電話では、現状を把握するため「いつから、どんな症状が、どんなことをきっかけで生じたのか」や「最近の生活状況はどうなのか」などいくつかの質問があり、予約の日程調整を行います。もし、急を要しそうな場合には、私たち医師へ相談され適切な対応を検討することもあります。

 予約日に受診すると、診察に入る前に問診があります。問診はこれまでの経過や身体合併症の有無、生活背景などについてあらかじめ調査するもので、医療機関ごとに準備された用紙に書き込む形が多いように思います。

 実際の診察になると、問診の情報をもとに担当医がさらに詳しくお話をお伺いします。特に、初回の診察では、さまざまな可能性を考慮する必要があるため、質問が不調になる前の暮らしぶりやご家族、お仕事のことなどにも及びます。時間的には、場合によって多少の前後はあるものの(あくまで私的な感覚ですが)、おおむね30分から45分くらいが多いでしょうか。

 診察で聞かれる質問は答えを強制するわけではありませんので、身構えなくても大丈夫です。事実と異なることを答えられると困ってしまうこともありますが、初診のときに話せないということだけで医師との関係が成り立たなくなってしまうことはないと思います。

 私も初診のときは「答えられる範囲で答えてください」と前置きしてからお聞きするようにしています。特に重要であれば、再度医師から聞かれるかと思いますので、その際は改めてご検討いただければと思います。

「自分だけでは話す自信がない」とのことで、ご家族やパートナー同伴で受診される人もいます。逆に同席者に知られたくないことがあれば、部分的に席を外してもらうこともよくあります。一通り診察が終われば、最後に見立てを説明してその後の治療方針について協議していきます。

 以前、ある人に「精神科に行ったらよくわからない薬を飲まされるんでしょ」と言われたことがあります。単に私のことを嫌いだった説も否めませんが、このようなイメージが一般的なのでしょうか。もちろん、実際にはそのようなことはありません。

次のページ
「子どもがほしい」「仕事を休みたくない」患者の希望は通る?