※写真はイメージです(写真/getty images)
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 精神科の受診を勧められたけど、どんなところかわからず怖い。あるいは、他の診療科に比べ、受診に抵抗があるといった声は多いことでしょう。千葉大学病院精神神経科特任助教の大石賢吾医師が自身の経験を一例に、精神科外来について答えます。

【20代女性Aさんからの相談】新しい仕事を始めてからいろいろうまくいきません。夜に眠れなくなったりご飯を食べたくなくなったりすることは少し前からあったんですけど、最近職場でも突然涙が出てくるようになりました。会社で精神科の受診を勧められたのですが、どんなところかわからず怖いです。友人に相談したら「適当に薬をだされるだけで、やめられなくなるよ」と言われたのですが、本当でしょうか?

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 新しいお仕事を始めるとき、業務だけでなく職場や人間関係も大きく変わり、うまく適応することは困難なものです。期待や不安、イメージと現実の違いなどから気持ち的にも複雑な状態になりやすく、慣れるまでにかかる心労は相当なものだと思います。Aさんも、いろいろなことに悩みながら「早く仕事を覚えなきゃ」とご無理をされていたのではないでしょうか。適切な医療が届くことを願うばかりです。

 しかし、このご相談、盲点でした。日頃から診療をしていると当たり前になってしまっていましたが、初めて精神科を受診される人にとっては不安ですよね。他の診療科に比べ、受診に抵抗があるかもしれません。今回は、そのような不安を少しでも少なくするため、精神科の外来がどのような流れで進められるか、私の経験を一例としてご紹介いたします。

 受診するには、まず受診しようとしている医療機関へ受診可能かどうか確認することから始まります。予約制の施設はもちろんのこと、予約制でない場合でも、「せっかく病院に行ったのに急患がいっぱいで対応してもらえなかった」「紹介状が必要と言われた」などで無駄足になってしまう可能性も考えられるので、一度電話で問い合わせてから来院することをお勧めします。

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大石賢吾

大石賢吾

大石賢吾(おおいし・けんご)/1982年生まれ。長崎県出身。医師・医学博士。カリフォルニア大学分子生物学卒業・千葉大学医学部卒業を経て、現在千葉大学精神神経科特任助教・同大学病院産業医。学会の委員会等で活躍する一方、地域のクリニックでも診療に従事。患者が抱える問題によって家族も困っているケースを多く経験。とくに注目度の高い「認知症」「発達障害」を中心に、相談に答える形でコラムを執筆中。趣味はラグビー。Twitterは@OishiKengo

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