次は打撃と同様、日本時代からイチローの大きな武器となったスピード、走力に関する主なデータを振り返りたいと思う。

・盗塁(509):35位タイ
・盗塁失敗(117):66位タイ
・盗塁成功率(81.310%):38位
・得点(1420):89位
・出塁回数(3791):70位

※盗塁成功率は、盗塁を80回以上試みたなど対象選手に一定の条件あり。

※出塁回数の数値は安打、四死球による合計値。失策などでの出塁は除く。

 圧倒的な走力を誇る選手も少なくないメジャーリーグで、盗塁数が35位とスピードでも負けずに戦っていたのは凄いの一言。加えて、盗塁の成功率も38位と上位にランクインしていることから、ただ走るだけではなく確実に次の塁を盗んでいたかが読み取れる。得点、出塁回数も100位以内なことからも、“理想のリードオフマン”としてチームの勝利に貢献していたのかを数字が物語っている。

 次はデビューイヤーに披露した“レイザービーム”が話題となり、本拠地セーフコ・フィールド(現Tモバイル・パーク)では守備位置のライトを“エリア51”とファンに名付けられるなど、メジャーのファンも唸らせた守備力を数値で振り返りたい。※数値、順位はすべて右翼手としての通算の記録

・刺殺(4009):7位
・捕殺(100):53位タイ
・守備率(.9916):3位
・RF/1試合9回平均(2.232):23位

※RFはレンジ・ファクターの略。1人の選手が1試合平均でどれだけアウトに寄与したかの数値。

 打力、走力も素晴らしいイチローだったが、守備の指標ではトップテン入りしているものも見受けられ、ディフェンスでもトップクラスに君臨したことを数値が証明している。広い守備範囲で着実にアウトを重ね、次の塁を狙う走者を自慢の強肩で仕留めていたのはただの印象だけではない。数値には現れないが、ライトにイチローがいるという“抑止力”が相手チームに与えた影響も少なくないだろう。

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