では少し趣向を変えて、これだけ“完成された選手”であったイチローは果たしてどれだけメジャーリーグで稼いだのか。ここ数年は年俸がかなり高騰しており、時代によって年俸の額も大きく変わってくるため、単にお金だけでは選手の価値は測ることは不可能だが、これも気になるところ。

 イチローがメジャーで稼ぎ出した年俸の総額は、1億6718万1483ドル(約187億円)。キャリアですでに確定している年俸総額のランクでは30位に位置している。1位のアレックス・ロドリゲス(ヤンキースなど)は3億9928万5104ドル(約447億円)と遠く及ばないが、選手の価値を示すお金という面でも、歴史に名を刻んでいる。

 今回は主に、走・攻・守の数値でイチローのメジャーでの功績を振り返ってみたが、客観的にいかに素晴らしいプレイヤーだったかがお分かり頂けたのではないだろうか。加えてイチローが引退会見で語っていた「頭を使う野球」という数値に見えないところでも、チームの勝利に貢献していた部分もあるだろう。

 今後、日本人選手がメジャーへ挑戦する流れは変わらないだろうが、イチローの領域まで達することのできるプレイヤーが果たして生まれるか。もちろん、そのような選手の登場を願うが、殿堂入りが有力視される“伝説”への壁は途方もなく高いだろう。