その過程で、LとRが入った単語の多さを改めて知った。

「耳で覚えた単語は、LかRか聞き取れていないこともあります。いちいちスペルを確認して区別しました」

 ときには受験生のように単語カードに英単語を書いて見直すという。面倒じゃないですか?と聞くと、「面倒ですよ」と即答する山下さん。

「単語を覚えるのは、つらくて苦しくて面倒。でも単語を知らないと話せません。No pain, no gain.です」

 その苦労の先に、豊かな人間関係が広がることを山下さんは実感している。英語ならではの表現が、ときに心を癒やしてくれることも。

「このまえロスの友人に『友だち連れていっていい?』と聞いたら、“Yes, of course. I like your people.”って返事がきたんです。お前の友だちなら全員好きって。うれしかったですね」

(文/神素子)