古賀茂明「安倍総理の読み違いで米韓中ロが描く北朝鮮バブルから取り残される日本」 (2/7) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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古賀茂明「安倍総理の読み違いで米韓中ロが描く北朝鮮バブルから取り残される日本」

連載「政官財の罪と罰」

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著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

2018年6月、シンガポールで初の米朝首脳会談を開いた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)とトランプ米大統領 (c)朝日新聞社

2018年6月、シンガポールで初の米朝首脳会談を開いた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)とトランプ米大統領 (c)朝日新聞社

 さらに、金正恩は欧州で教育を受けて世界情勢を知っている。「このままでは北朝鮮経済は早晩行き詰まり、最後は政権の崩壊につながる。自分にとっては死を意味する。しかし、米国に対抗して通常戦力整備に際限ない資源を投入している現状では、経済成長の実現は不可能だ。何とかして米と対等な立場に立ち、米朝平和協定を結んで安定した環境下で経済改革にまい進したい。どうせ死ぬなら、最後に局面打開のために命がけの賭けに出てみよう」と考えているのではないか。

 以上が金正恩の考え方であると仮定すると、現在の北朝鮮の行動は、非常に理にかなっている。ミサイル発射も核実験もブラフではない。米国が譲歩しない限り、核実験とミサイル発射を繰り返し、最後には小型核弾頭と長距離ミサイルの開発を終了、さらに、それをイランに売却するというカードをちらつかせるだろう。米国は否が応でも北朝鮮を事実上核保有国と認めざるをえなくなる。

 現時点では、北朝鮮の作戦は極めて有効に機能している。韓国経済に打撃を与え、米韓ともに対話路線を模索する姿勢を見せ始めた。

 中国も、ある意味では過去のパラダイムに浸っていた。本気になれば北朝鮮の息の根を止めるのは容易だと思っていたが、それは、これまでの国際「常識」が前提であった。北朝鮮からの難民大量流入や北朝鮮崩壊により米国の核の傘下にある韓国と直接国境を接する事態を確実に避けながら、自爆覚悟の北朝鮮をコントロールする術はない。

 5大国が特別の権利を得たのは、戦争に勝ったからだ。つまり、それは力でもぎ取った権利だといってよい。北朝鮮はそれに公然とチャレンジしている。力でもぎ取った権利を守るには、最後は北朝鮮を力で叩き潰すしかない。事態はそこまで進んでいる。

 力で戦後の「常識」を守るのか、それとも、事実上「常識」の変更を認める交渉に入るのか。

 極東地域の支配秩序が明らかにパラダイム転換を迎えつつある。未だに声高に北朝鮮を非難するだけの日本の政治家と外務省は米国同様それに気づいていないのではないか。

*  *  *

 以上、驚くほど現在の状況にぴったりの内容だ。


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