作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします(撮影/写真部・小山幸佑)
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写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真)
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 鴻上尚史人生相談。「4歳の娘が可愛くない、キレそう。いつか手をあげてしまうのでは」と自分を不安がる相談者。苦しむ母親に、鴻上尚史が教える「理屈が通じない理不尽」の経験とは?

【相談19】4歳の娘の我がままに、爆発してキレそうです(41歳 女性 ごんつく)

 4歳の娘がいます。最近、娘が可愛くないのです。というのも、娘が自分勝手で我がままだからです。例えば、お昼はパンが食べたいというからパンを買ってきたら「もう食べれない」、夜はカレーがいいというから作ればやはり「もう食べれない」。そして「ママの料理で好きなものは?」と聞くと「ポテトチップ!」。それは料理じゃない(笑)。私は貴女にどうしてあげたらいいの? と爆発しそうです。言葉遣い悪く言うと「キレそう」です。

 今までずっと、キレもせず、怒鳴ったり手をあげたりもしませんでしたが、そのうちきっと爆発して怒鳴ったり手をあげたりするかも知れません。そうなる前に、鴻上さん、お知恵を貸して下さい。お願いします。

【鴻上さんの答え】
 ごんつくさん。本当に大変ですね。ごんつくさんの悩みに、「私もそうなの!」とうなづいている母親は多いと思います。

 相談内容だけですから、ごんつくさんの生活はまったく分かりませんが、4歳の娘さんに対して「最近、娘が可愛くないのです」と書くということは、短時間の細切れ睡眠で苦労した授乳時期や、「魔の2歳のイヤイヤ期」は、なんとか乗り越えたということなんでしょうか。

 そうだとすると、「自分勝手で我がまま」と娘さんに感じるということは、「子育ての苦労」というより「子供とのつきあい方の苦労」ということになります。

 それとも、たまりにたまったストレスが、この時期に爆発しそうになっている、ということでしょうか。

「子供には理屈が通じない」とよく言いますが、0歳からイヤイヤ期までの「理屈の通じなさ」と、ごんつくさんが直面している4歳児以降の「理屈の通じなさ」は、違うんじゃないかと、僕は思っています。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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