「高橋一生が『長年の下積み』の末にブレイク」に鴻上尚史が怒り 俳優志望の息子に悩む父親に贈った言葉とは (4/7) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「高橋一生が『長年の下積み』の末にブレイク」に鴻上尚史が怒り 俳優志望の息子に悩む父親に贈った言葉とは

連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」

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dot.#鴻上尚史

 僕の世代は、30歳が目安でした。30歳になっても、俳優として生活できない人達は、「そろそろ潮時かな」とか「夢を見る時間は終わりか」と呟いて、故郷に帰ったり、堅実な職業を選んで働き始めました。

 男性の場合、30歳前に結婚が決まった時は、ほとんどの人が俳優を諦めました。

 彼ら・彼女らは、いったん、俳優を諦めると、かなり優秀な働き手になります。

 アマチュアながら俳優をずっと続けてきたので、大きな声が楽に出せます。ちゃんと挨拶することや先輩を立てることにとても敏感です。

 なにせ演技は、人間相手の共同作業なので、引きこもったり心を閉じている場合ではないのです。とにかく、相手役の俳優と話し合い、監督や演出家とぶつかり、指示を受け、スタッフとコミュニケイションしながら、役創りと作品創りを続けるしかないのです。まさに、コミュニケイションのスキルが明確に上達するメディアなのです。

 結果として、こじれた人間関係の中でちゃんと働ける優秀な人材になります。

 ここで比較に出して申し訳ないですが、プロの小説家を目指して10年書き続けてきたとか、美術で生計を立てるために長年絵を描いてきたとか、ずっと楽器の練習をしてきた、という人達に比べて、放り込まれた人間関係の嵐のレベルが違うのです。

 そうやって演技を続けてきた人が、どれだけ働き手として求められるか、現場の人ならよく分かると思います。座学だけを続けてきたインテリよりも、現場では何十倍も人間力を発揮するのです。

 実際、僕の知り合いは、何人もがバイト先から「プロの俳優を目指すのをやめて正社員にならないか」と誘われました。

 ですから、30歳でプロの俳優の道を諦めた後、社会人としてバリバリ働いている人が多いのです。

 そして、エイ助さん、最近の若者は、25歳が目安になっています。

 親に言われるんじゃないですよ。自分で、25歳になってもプロの俳優になれないと、俳優をやめるのです。


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