「高橋一生が『長年の下積み』の末にブレイク」に鴻上尚史が怒り 俳優志望の息子に悩む父親に贈った言葉とは (5/7) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「高橋一生が『長年の下積み』の末にブレイク」に鴻上尚史が怒り 俳優志望の息子に悩む父親に贈った言葉とは

連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」

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dot.#鴻上尚史

 僕は、10年前、若者を集めて劇団を創りました。旗揚げ当時、俳優の平均年齢は21.7歳でした。

 彼ら・彼女らの多くは、25歳になってやめました。プロの俳優になれそうにないと、自分の可能性を見切ったのです。中には、「もう少しがんばればなんとかなるのに」と、僕が歯噛みした女優もいました。でも、あっさりと、「ヨガのインストラクターになります」と言ってやめていきました。

 親が心配するより先に、今どきの若者は自分の人生をちゃんと考えているのです。

 エイ助さん。おっしゃるようにプロの俳優になれる可能性は、まさに1%以下です。俳優志望者は、熱烈に希望する人からぼんやりと憧れている人まで合わせれば、全国に百万人以上いるんじゃないかと思います。その中で、プロの俳優として生活できる人は、ほんの一握りです。

 多くの人達はバイト生活を続けながら、時々、俳優の仕事をします。テレビや映画の映像系の仕事は、比較的ちゃんとしたギャラがでます。舞台系だと、チケットノルマというものに苦しみ、ギャラをもらうどころじゃない場合もあります。その分、ちゃんと演技の練習ができますから、演技力は向上します。

 40代50代になっても、バイト生活を続けながら、半プロ半アマチュアのような生活をしている人は珍しくありません。

 もっとも、エイ助さんが書く「俳優として成功」ということを、俳優の仕事を知らない人は、「テレビに出る俳優になること」だと思い込みがちですが、テレビに出ないまま、舞台の仕事でちゃんと生活している人もそれなりにいます。

 2017年、高橋一生さんが『カルテット』でテレビ的に有名になった時、「長年の下積み」と多くのマスコミは書きました。僕は怒りました。

 高橋一生さんは、ずっと下積みを続けていたのではありません。舞台でめざましい活躍を続けていたのです。そして、2017年、テレビ的にブレイクしたのです。

 もし、テレビで有名になることしか俳優としての成功がないのなら、テレビに出ない声優もミュージシャンもクラシックやジャズのダンサーも、一生、下積みを続けていることになります。そんなバカな。


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