一生に一度は取ってみたい! 満点のスコア
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累計100万部突破の『金のフレーズ』ではTOEICテストの独特な世界観を紹介した「TOEICの世界」が大人気
累計100万部突破の『金のフレーズ』ではTOEICテストの独特な世界観を紹介した「TOEICの世界」が大人気

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【画像】人間関係だけじゃない! TOEICのユニークすぎる世界

 こんな理想的な世界が存在するという。ただし、「TOEICの世界」という条件付きで。

 TOEICとは、言わずもがな、ビジネスマン向けの英語力を測る一つの試験のこと。このスコアによって昇級に一歩近づいたり、大学入学試験などが免除されたりする。年間ののべ受験者は200万を超えるメジャーなテストだ。今回は通称「TOEICの世界」と呼ばれる、「英語のテスト」の本質からは少し離れた特殊な世界観を覗いてみよう。

 酒もたばこも存在せず、感情に任せて怒りくるう人もいない――。

 調べれば調べるほどに清廉潔白なTOEICの世界。これが話題になり始めたのは数年前、累計100万部を突破するほど受験者に人気の単語帳『TOEIC L&R TEST 出る単特急金のフレーズ』(朝日新聞出版)、通称“金フレ”に記されたミニコラム「TOEICの世界」がSNSで拡散されたことがきっかけだった。TOEICの特殊な世界観は、TOEICを何度も受けるマニア「トイッカー」の間では、不思議ではあるが「あるある」として受け入れられてきたという。受験者同士で「また飛行機遅れたな」と試験終わりに会話を交わすことも多いとか。なんだかツウっぽい。

 その「TOEICの世界観」には、ツッコミたくなる要素が満載だ。たとえば、

<コピー機が故障しがち>

 これ、TOEICあるあるの一つで、頻繁にコピー機のトラブルが発生する。紙が詰まったり、切れたりは日常茶飯事だ。中には「先週直したが、また壊れた」というパターンもあり、とにかくコピー機が壊れやすいという。まだある。

<酒、たばこは出てこない>

 TOEICの世界ではパーティがあってもアルコールは出てこないし、ヘビースモーカーはもってのほか。いささか肩身が狭い気もするが、どんどんいこう。

<書類を紛失しても、提出期限を忘れても叱責されない>

 これ! これこそがTOEICの世界がホワイトだと言われるゆえんなのだ。失くしてもいいような書類だったのか、形だけの期限だったのか……。それはさておき、「失敗したって許される世界」ということが分かるだろう。近年、パワハラやセクハラ、残業代の未払いが取りざたされているが、TOEICの世界ではこんなひどいことは起こらない。ジェンダーにもマイノリティにも配慮し、残業代も全てきっちり払われる。あまりにも現実とかけ離れているのだから、何か基準があるに違いない――。そう思い、TOEIC事業を運営する一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会に聞いてみた。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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協会の”配慮”があった!