65歳白血病と26歳精巣腫瘍 二人のサバイバーが語ったがんになってわかったこと (3/5) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

65歳白血病と26歳精巣腫瘍 二人のサバイバーが語ったがんになってわかったこと

dot.#がん#病気
自分の努力ではどうにもならないことがあることを知った上野創さん(撮影/片山菜緖子)

自分の努力ではどうにもならないことがあることを知った上野創さん(撮影/片山菜緖子)

仕事人間だった粕谷卓志さんは、改めて家族の大切さを感じたという(撮影/片山菜緖子)

仕事人間だった粕谷卓志さんは、改めて家族の大切さを感じたという(撮影/片山菜緖子)

粕谷:ええ、家族は大きな支えになりますよね。かつて私は仕事人間で、あまり家庭を顧みることがなかったんです。それにもかかわらず妻は、楽しみに通っていたヨガやピラティス教室をやめてほぼ毎日病院に来てくれました。どれほど心強かったことか。感謝してもしきれませんよ。

 病室には孫の写真をいつも飾って。いまは小学1年生になった一番上の孫が幼稚園の時に覚えたての字で「はやくげんきになってね」なんて書いてくれた手紙は見ただけで涙が出て、これは絶対生きて帰らなきゃいけないと気持ちを新たにしたものです。

 家族だけじゃなく幼な馴染の親友二人もほぼ毎日のように夕方になると病室に顔を出してくれましてね。

 あるとき看護師さんから「ご家族がいなくて一人で戦わざるを得ない患者さんもいらっしゃる。粕谷さんは幸せですよ」と言われましてね。あらためてありがたいと思いました。がんにならなかったら、ここまで実感できなかったでしょう。

上野:もし家族がいなかったとしたら、自分は何を精神の足掛かりに頑張ればいいのだろうか、頑張れるだろうかと考えたこともありました。これからそのようなケースは増えてくるでしょうし、私自身もそうなる可能性がある。同じ病気の人同士で仲間ができるといいですよね。

粕谷:私はもともと話をするのが好きだから、入院中は看護師さんと会話することで暗い気分にならずに済みました。長く入院していると、看護師さんの顔も名前も覚えてしまってね。

上野:医師との会話は緊張するんですよね。病気のことが中心でシビアな内容も多いし、少なくとも馬鹿話ができる相手じゃないわけです。向こうも忙しいですから。看護師は「気分はどうですか?」から始まって、世間話も含めて日常会話ができます。病院という非日常的な空間で、患者と医療者ではなく人と人とのふつうの何気ない会話が自分を支えてくれたと思います。

粕谷:入院したくて入院している患者はいませんから、医師にしろ看護師にしろ「我々も最善を尽くすから一緒に治しましょう」という姿勢で接してくれることが、患者の救いになるんです。自分以外にも戦ってくれる人がいる、そういう人が多ければ多いほど患者はがんばれます。


トップにもどる dot.オリジナル記事一覧

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい