(2)第1志望に行ける子は1割と知る

 中学受験で第1志望に合格する受験生の割合は、保護者のみなさんが思っているよりずっと少なくて、全体の約1割程度です。

 つまり、あとの9割は第2志望、第3志望、あるいは地元の学校に通うのです。はじめから、期待するなというわけではありませんが、第1志望に合格しなかったときの心構えも必要なのです。

 不合格はショックなできごとですが、大切なのは気持ちを切り替えて、実際に通う学校に早く馴染んで自分らしいポジションを見つけること、心地いい居場所をつくることです。いつまでも「第一志望に落ちた」と、ネガティブな気持ちを引きずっているのは、まさに時間の無駄。最も問題なのは親の落胆が子どもに伝わることで、特に一緒に過ごす時間の長いお母さんの失望感は子どもに大きなダメージを与えます。

 だからこそ、「第一志望に合格するのは一割」という現実をわきまえて、たとえ第1志望に合格できなくても、それまでの頑張りを認めてほめる姿勢が親には求められるのです。

(3)合格時の順位と卒業時の順位には相関性がない

「ぎりぎりで合格するなら、ワンランク落として上位を狙ったほうがいい」「補欠入学だと、苦労するかもしれない」。そんな風に考える親御さんがいますが、実は合格時の順位と、卒業時の順位にはあまり相関性がありません。

 ただ、「1年生の学年末の成績は出口を予想するのに非常に重要な情報」であるのは、多くの学校の先生方が言うことです。
つまり、トップで合格した子がずっとトップとは限らないし、繰り上げ合格になった子でも、ぐんぐん成績を伸ばすケースも珍しくないということです。それは、入学してから、新しい環境になじんで自分の居場所を見つけ、学校生活で勉強や部活動などを積極的に楽しめるかどうかに大きく左右されるのです。

 ですから、中学受験の合否の結果について一喜一憂する必要はなく、むしろ、そのあとの対応が重要ということです。

 中学での新生活に限らず、新しい環境に順応する力は、社会人になっても求められるものです。親は子どもを前向きにサポートすることで、この力を養ってあげることができるのです。(取材・構成/松島恵利子)