柳澤幸雄(やなぎさわ・ゆきお)/1947年生まれ。東京大学名誉教授。開成中学校・高等学校校長。開成高等学校、東京大学工学部化学工学科卒業。71年、システムエンジニアとして日本ユニバック(現・日本ユニシス)に入社。74年退社後、東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻修士・博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、併任教授(在任中ベストティーチャーに数回選ばれる)、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て2011年より現職。自身も男の子を育て、小学生から大学院生まで教えた経験を持つ(撮影/工藤隆太郎)
柳澤幸雄(やなぎさわ・ゆきお)/1947年生まれ。東京大学名誉教授。開成中学校・高等学校校長。開成高等学校、東京大学工学部化学工学科卒業。71年、システムエンジニアとして日本ユニバック(現・日本ユニシス)に入社。74年退社後、東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻修士・博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、併任教授(在任中ベストティーチャーに数回選ばれる)、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て2011年より現職。自身も男の子を育て、小学生から大学院生まで教えた経験を持つ(撮影/工藤隆太郎)

 2020年の大学入試改革を控え、中学受験をする子どもが増えています。一言に受験といっても私立、国立、中高一貫、男子校、大学附属など、さまざまな選択肢があります。

 東大合格者数37年連続日本一の開成中学・高校の柳沢幸雄校長は、著書『男の子を伸ばす母親が10歳までにしていること』の中で、学校選びで一番大事なのは親子で十分に話し合い、最終的に子どもが決めることだと述べています。中学受験で親が気を付けたいポイントについて、お話を伺いました。

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(1)志望校を決めるのは子ども本人

 学校選びの目安に「偏差値」があります。しかし、はじめから「この成績ならこのレベルの学校」と決めつけるのではなく、幅広い視野でたくさんの情報を収集することが大事です。

「この学校に通わせたい」「自分の出身校に」と、親が志望校を決めるケースがありますが、学校に通うのは子どもです。しっかり話し合い、最終的には子ども自身が志望校を決めるのが重要。そこを明確にしないと、入学後にうまくいかないとき「お母さんたちが勝手に決めた」「本当は違う学校が良かった」のように、親のせいにされてしまいます。

 そして、学校と子どもとの相性も受験では重要な要素です。それを見極めるには、志望校の文化祭や運動会、学校の説明会など、あらゆる機会を見つけて子ども自身が学校に足を運び、その雰囲気を生で感じ取ることです。

 そうすれば次第に好みがハッキリして、合う、合わないも分かってきますし、「行きたい」と思う学校に対する憧れも湧いてきます。

 そしてこの憧れが「ぜったいこの学校に行くんだ!」というモチベーションを引き出し、受験を乗り切る原動力になるのです。当たり前ですが、受験をするのも学校に通うのも子どもなのですから、親は、サポート役に徹すればいいのです。

 また、受験の際に、母子が一体になって頑張り、父親が蚊帳の外という家庭をたまにみかけます。実際、仕事が忙しければ塾の送り迎えや学校見学などに参加するのは難しいかもしれません。

 しかし、父親には父親らしいサポートの仕方があるはずです。たとえば、塾の成績に一喜一憂している子どもとお母さんに、もう少し長い目で見て今後の勉強の仕方をアドバイスすることもできるでしょうね。父親も受験に積極的にかかわって、子どもの頑張りをきちんと見つめながら応援してほしいのです。

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2つ目のポイントは?