ラグビー日本代表のジョセフHC (c)朝日新聞社
ラグビー日本代表のジョセフHC (c)朝日新聞社

 アジアで初開催となるラグビーワールドカップ2019が東京スタジアム(味の素スタジアム)で行われる日本対ロシア戦で幕を開けるまで、9月20日でついにあと1年だ。ラグビー・ワールドカップは夏季オリンピック、FIFAワールドカップとともに世界三大スポーツイベントと言われ、日本は世界の中で英国、フランスに続き、これら三つの大会すべてを開催する三番目の国となる。

 2002年のFIFAワールドカップは韓国との共催だったため、日本国内での会期は30日間、日本でプレーしたチーム数は決勝トーナメントから来日した国を含めて20、試合開催都市数は10だった。一方、ワールドカップ2019は20カ国・地域が参加し、全国の12都市で44日間にわたって行われる。つまり、地域的な広がりや会期の長さでは、日本の社会が経験したことのない規模のスポーツイベントなのだ。

 「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」(大会キャッチコピー)という大舞台で史上初の8強入りを目指す日本代表。この春の国際試合シーズン、北半球最高峰の国際大会「6カ国対抗」に参加するイタリア代表と1勝1敗、欧州の中堅チーム、ジョージア代表には得点を許さずに快勝した。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチの就任が2015年のワールドカップから約1年後の2016年9月にずれ込んだことで強化に出遅れ感があったが、ここにきて指揮官が追い求めるラグビーがチームに浸透してきた。

 とは言っても、残された時間はあと1年しかない。これからワールドカップ本番までは、今まで以上に厳しい時間との闘いとなる。その中で、チームは成長曲線を大きく上向かせなければならない。

 その際、成長が求められるのは選手だけではない。ジョセフヘッドコーチも同様だ。前任のエディー・ジョーンズ氏(現イングランド代表ヘッドコーチ)は日本代表を率いる前にオーストラリア代表ヘッドコーチなどとしてワールドカップ2大会に参加し、共に決勝まで進んでいる。戦績は計14試合を戦って1敗のみと、極めて高い経験値のアドバンテージがあった。

 一方、ジョセフ氏は日本代表が初のテストマッチ(国代表同士の試合)レベルでの指導。ワールドカップは3大会目となるキャプテンのリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス)をはじめ、フッカー堀江翔太、SH田中史朗(ともにパナソニックワイルドナイツ)、SO田村優(キヤノンイーグルス)、CTB立川理道(クボタスピアーズ)、FB松島幸太朗(サントリーサンゴリアス)など、チームの柱となる「縦の線」のポジションにワールドカップ経験者がいる選手たちの方が、熾烈な勝負の世界での戦い方を身をもって知っている。戦術・戦略にとどまらず、選手選考や起用、事前準備などピッチ内外のすべての局面で、ここから大きな成長が求められるのは、むしろジョセフヘッドコーチの方になるだろう。

次のページ
経済波及効果は4372億円と大規模