同大学の合格者数は17年度→18年度で3633人減っているが、合格発表(一次)後、5学部で(二次)追加合格、さらに3学部で(三次)追加合格を出している。手続き率を予測しながら、大学全体と学部毎の両面で合格者を調整し、入学者数を確保しなければならない状況がうかがえる。この追加合格による調整は法政大だけでなく他大でも多く行われ、結果的に、学生の進路が決定しづらくなってしまうのだ

■学生が3月下旬まで悩まなくて済む

 菊池さんは、「あくまで私見ですが」と前置きしたうえで、こう話す。

「過度な定員超過を是正することは教育の質を維持するために必要ですが、合格者のうちどのくらいが入学するかを予測するのは、他大学の合格発表動向の影響も受けるため、本当に難しい。『入学定員管理の厳格化』に本学も含め多くの大学が追加合格や補欠合格といった方法で対処しており、結果として合格発表時期の長期化を招いています。基準値を超えてしまうと全額不交付にするのではなく、傾斜をつけるなどの工夫をしていただくと、各大学がここまで慎重にならず、3月下旬まで進路に悩む受験生が減るのではないかと感じますね」

 こうした学生・大学側の苦労を、国はどのように把握しているのか。

 2015年7月に、文部科学省高等教育局私学部長と日本私立学校振興・共済事業団理事長の連名で、学校法人理事長に送った「入学定員超過率の変更」の通知には、「19年度以降」について以下のように記されている。

<入学定員充足率が1.0倍を超える入学者に見合う額をさらに減額する予定である。一方で、定員管理の適正化に向けた努力をする中で、結果として定員を下回ることも考えられることから、入学定員充足率が0.95倍以上、1.0倍以下の場合には、一定の増額措置を行う予定である>

 このことを、さも決定事項のように報じている記事もあるが、あらためて高等教育局私学助成課に尋ねてみた。すると、

「決定事項ではありません。都市圏で定員超過していた大学の超過がかなり改善されましたし、地方の大学では充足率が改善しているところもあるようです。基準の厳格化による効果などについて、現在検証中です。できるだけ早く決定したいと思っています」

 との回答だった。19年度の入試はどうなるのか。

(文/庄村敦子)