“ファッション”という意味では、表参道に近い神宮球場を本拠地とするヤクルト球団との互換性もある。現在、東京五輪を契機とした神宮外苑の再開発計画が進行中であるが、ここに「ZOZO」が加われば、野球ファンだけでなく流行に敏感な若者たちを巻き込むことができる。今回の「ZOZO」以前にヤクルトには身売りの噂が頻繁に浮上しており、新潟や静岡への本拠地移転の話もあった。「ZOZOスワローズ」が誕生すれば、「東京音頭」に代表されるような、これまでの“下町”のイメージをがらりと変え、それが新たなファンの獲得・拡大に繋がるかもしれない。

 また、プロ野球球団は時代を移す鏡である。親会社がかつての国鉄、阪急、近鉄、南海、西鉄と言った鉄道会社から、近年のソフトバンク楽天、DeNAといったIT企業へ移行して来たのは、実に分かりやすい。そして、04年のプロ野球再編問題時に球団合併を模索した西武の身売り話も完全に消えてはいない。もし仮に「ZOZOライオンズ」が誕生すれば、現在のメットライフドーム周辺を再開発し、ファッションも織り交ぜた一大テーマパークにする案も浮上する。ただ、都心から離れており、交通の便も悪いのが懸念される。インフラも含めた再開発プランが必要になるが、その場合は自治体からの援助が必要不可欠になり、球団誘致に積極的な都市への本拠地移転も現実味を帯びて来るかもしれない。

 ファンからの要望が多いという意味では、中日が候補となっても面白い。今年は松坂大輔の加入で観客動員が伸びているものの、ここ最近は“ファン離れ”が顕著で、2013年には、1997年にナゴヤドームへ本拠地を移転して以来、初めて年間の入場者数が200万人を割った。成績面でも、昨年は球団ワーストの5年連続となるBクラスと低迷し、今シーズンも最下位に沈んでいる。ツイッター上でも球団の経営に不満をもつファンから買収に対して、前向きなコメントが目立っている。40年来の中日ファンはこう話す。

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低迷する中日ファンには買収を願う声も