「こんなに弱い時期が続くのは80年以上の歴史があるチームの歴史でも前例がない。ファンの間では、親会社の中日新聞への不信感が募っています。そもそも新聞業界は斜陽産業。ベイスターズのように、勢いがある企業に買収してもらって、ファン重視のチーム作りを進め、強いドラゴンズを取り戻してほしい」

 やはり、2011年のオフにベイスターズがDeNAに買収され、「人気」と「成績」の両方を得たことで、特に現状に満足していないチームのファンはZOZOの買収を歓迎している傾向にあるようだ。DeNAは買収前に約110万人だった入場者数が昨年には約198万人と大幅にアップし、さらに昨シーズンは16年ぶりのシーズン勝ち越しを決め、リーグ3位ながら日本シリーズに進出した。

 では、専門家は今回の前澤氏の表明をどう見ているのか? 野球ライターの西尾典文氏はこう話す。

「古くから存在している球団はあくまで親会社の知名度のために球団経営をしているというスタンスのところが多いように見えます。そのため球団経営で赤字が出たとしても、親会社の広告宣伝費くらいでしか見ていない。一方、楽天やDeNAのように近年参入したチームは球団単体でも利益をきちんと出すようにシフトしており、実際にそれがうまく回っています。球団とスタジアムの経営を一体化し、幅広い層を取り込むことに成功している。それはwebマーケティングに強みのあるIT企業だったということも大きいと思います。ZOZOもその流れをくむ企業ですので、新たなファン層を取り込んで球団経営を黒字化させることもおおいに考えられるのではないでしょうか。ファンの中にも勢いのある企業が参入することを望んでいる層が少なくないと思います」

 ひと昔前、特にパ・リーグの球場には閑古鳥が鳴いていたこともあったが、前述したIT企業の参入や日本ハム北海道移転などで、球場のエンターテインメント化が進み、どの球場も連日の賑わいを見せている。この状況下で、千葉ロッテが即座に球団売却を否定したように、どの球団も身売りに消極的であることは想像に難くない。楽天球団が誕生した時のような球団合併というウルトラCもあるが、果たしてどうなるか。求めたいのは、これまでにないような革新的なチーム。それは閉鎖的な環境の中では生まれにくく、外からの新しいパワーが必要になる。今回の“つぶやき”が、プロ野球界の“前進”に繋がることを願いたい。