「おめでとうございます」

 78歳・王貞治の再婚が発表された6月1日。そこに、大きな声で恩師を祝福する柳田がいた。

「祝砲を打ってくれ」

 王からのリクエストに、それでは……とばかりに、3回に13号2ラン。やっぱり、ただ者ではない。

 和田毅、千賀滉大、岩崎翔、サファテ、内川聖一。昨季の日本一を支えた男たちが、相次いで故障渦に巻き込まれ、交流戦直前まで23勝23敗の勝率5割。これを「それでも」とみるか「ダメだ」ととるか。ただ、1つだけ、間違いなく言えることがある。

 柳田がいたからこそ、5割をキープできている--。

 交流戦も6連勝発進。柳田は、過去3年で2度の交流戦MVPを獲得している。そして、今年も打ちまくる。

 ただただ、この男はすごい--。

 4割、40発、40盗塁。そんな夢物語のようなことも、達成しかねない柳田のとどまらない勢いを見ていると、来るべき秋へ向け、ありきたりではない、柳田悠岐を形容できるフレーズを考えておかないといけないようだ。(文・喜瀬雅則)

●プロフィール
喜瀬雅則
1967年、神戸生まれの神戸育ち。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当22年。その間、阪神、近鉄、オリックス中日ソフトバンク、アマ野球の担当を歴任。産経夕刊の連載「独立リーグの現状」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。2016年1月、独立L高知のユニークな球団戦略を描いた初著書「牛を飼う球団」(小学館)出版。産経新聞社退社後の2017年8月からフリーのスポーツライターとして野球取材をメーンに活動中。