トリプルフォーの可能性を感じさせるソフトバンク・柳田 (c)朝日新聞社
トリプルフォーの可能性を感じさせるソフトバンク・柳田 (c)朝日新聞社

 2018年5月29日、セ・パ交流戦が開幕した。

 ソフトバンクは、甲子園へと乗り込んだ。過去13年の歴史を持つ交流戦で、昨年までの3年連続を含め、計7度の交流戦最高勝率を誇るソフトバンクにとって、故障者続出の影響で、23勝23敗の勝率5割と波に乗り切れなかった今季の序盤戦から盛り返し、勢いをつけ直すための大事な18試合になる。

 そんな中で、柳田悠岐のバットは絶好調だ。

 交流戦開幕直前の46試合終了時点で、打率.374、12本塁打、41打点、11盗塁。これを143試合に換算すれば、37本塁打、127打点、34盗塁になる。

 打率がどこまで伸びるのかは分からないが、2度目のトリプルスリーどころか、前人未到の40本塁打、40盗塁という「フォーティー・フォーティー」、いや、3冠王と盗塁王の「4冠」の可能性すら膨らむ快進撃ぶりだ。

「怪獣やな」

 その柳田との直接対決を心待ちにしていたのが、阪神の主砲・糸井嘉男だった。筋肉質のボディー、規格外のパワー、強肩、そして俊足と、2人には共通点が多い。京都出身の糸井と、広島出身の柳田で生まれ育ちも違えば、同じ球団でプレーした経験ない。なのに、やたらとウマが合う。

 オリックス時代の糸井が浜松で自主トレをしていた2014年、そこへ初参加したのが柳田だった。

「こいつ、すごいで」

 糸井は、柳田をやたらと褒めまくっていた。

 天才肌に映る糸井だが、実は誰よりも練習熱心でもある。浜松での自主トレでは、砂丘でダッシュを繰り返し、たっぷりとバットも振り込む。その質も量も高いハードな糸井の自主トレメニューに、若き柳田は遜色なくついてきた。

 糸井には、それが嬉しかったのだ。

 ただ2人とも、なぜかしら、ボキャブラリーという面では、決して豊富ではない方だ。彼らを揶揄するつもりではないので、表現が何とも難しいのだが、番記者たちの質問に対して、別に嫌がるわけでもない。それでも、返ってくる答えが割と“短文”のケースが多い。

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「糸井さんの方が、怪獣ッす。僕、人間だと思います」