「糸井さん、パーフェクトマンです」

「また体が大きくなっていて、同じ人間とは思えません」

「糸井さんの方が、怪獣ッす。僕、人間だと思います」

 糸井の絶賛ぶりに、返ってきた柳田の答えがこれらだ。

 明るく、笑顔で言い放つので、聞いているこちらも楽しくなってくる。それでも、よくよく聞いてみれば、別にひねりもない、見たまま、聞いたままの、直感的な反応でもある。

 そこにギータらしさがあるといえば、褒め過ぎか。

 ただ、糸井と柳田の会話を聞いたことのある他の選手たちに聞くと、一様に苦笑いを浮かべ、同じような証言が返ってくるのも、また不思議なことだ。

「あの二人にしか、分からんのと違いますか?」

「周りで聞いていても、全然分からないんですよ」

「二人だけで通じてるのか、笑っているんですよね」

 話している内容が、どうも謎らしい。

 こちらも、そうした会話の一端でも何とかうまく伝えたいと思うのだが、やはり「謎」と言われるゆえに、会話の流れも、内容も、はっきりつかみ切れない。

 言い訳めいた文章が、どうにももどかしくなってきた。二人の“謎のシンパシー”をお伝えはできたところで、柳田の今季のプレーぶりの方に話題を移していこう。

 プロ8年目。柳田の打棒は、まさに猛爆状態だ。

 4月21日の日本ハム戦(札幌ドーム)で、史上65人目となる「サイクルヒット」を達成。その日から5月18日のロッテ戦(ZOZOマリン)まで、自己最長となる22試合連続安打も放ち、5月3日のロッテ戦(ZOZOマリン)では、二塁打が出ればシーズン2度目となるサイクル安打にも“王手”もかけたが「欲は出さずです」。

 5月9日の西武戦(メットライフドーム)で2000安打を達成した内川聖一が、右膝痛と左足への自打球で5月17日に出場選手登録を抹消。柳田はそこから「4番」を任されている。その重責も担いながら、5月は計41安打。ソフトバンクでの月間40安打以上は2010年4月の川崎宗則以来、8人目、9度目の快挙だ。文句なしの成績で、自身5度目の月間MVPに輝いた5月の26試合中、マルチヒットを放った試合は13度を数えた。

次のページ
「たまたまじゃないッスか」