一方のパ・リーグの投手3部門はどうだろうか。こちらも一人の投手の名前が浮き上がる。昨季16勝(リーグ1位タイ)、防御率1.97(同1位)、217奪三振(同2位)と覚醒した菊池雄星(西武)だ。昨季は最多奪三振のタイトルを獲得した則本昂大(楽天)が222奪三振で、その差は「5」。その則本が今季も最大のライバルになるが、則本の5年連続最多奪三振王を阻止すれば、パ・リーグでは2006年の斉藤和巳(ソフトバンク)以来の投手三冠王が見えてくる。オープン戦でも3月23日のDeNA戦で5回を2安打、1四死球、無失点、わずか66球でピシャリ。昨季途中に騒がれた2段モーションの心配もなくなり、今季もタイトル争いの大本命として快投劇を見られそうだ。

 菊池、則本以外でタイトル争いに絡んで来そうなのは、東浜巨、千賀滉大、武田翔太、そしてバンデンハークのソフトバンク勢だろうか。その他、残留した涌井秀章(ロッテ)、復調気配を見せる石川歩(ロッテ)の2人にオープン戦好調だった岸孝之(楽天)、さらに台風の目として評判を集めているオリックスの金子千尋、西勇輝の2人もタイトルを争える実力を持っている。あとは“新星”の登場があるかどうか。ドラフト1位左腕の田嶋大樹(オリックス)、高卒2年目で進化の兆しを見せている藤平尚真(楽天)の2人の若手には大きな可能性がある。新外国人の中ではレンジャースから推定年俸2億円で来日した“ポスト大谷翔平”のマルティネス(日本ハム)に注目だ。

 セ・パ両リーグでの三冠投手誕生となれば、1961年の権藤博(中日)&稲尾和久(西鉄)以来。その快挙に期待が高まる一方で、本命以外が開幕ダッシュに成功すれば、タイトル争いはさらに白熱したものになる。