では、選手別の報奨金はいくらになるのだろうか。そこで、JOCと各競技団体の報奨金を合計した金額を計算してみた(スキー競技はソチの報奨金実績をもとに計算)。

 トップは、新種目のマススケート女子で初代女王となり、女子団体追い抜きでも金を獲得した高木菜那で、総額2000万円。2位は金・銀・銅の「メダルコンプリート」を達成したスピードスケートの高木美帆の1600万円だ。高木姉妹でワンツーフィニッシュとなった。

 3位はスピードスケート女子500メートルで金、1000メートルで銀を獲得した小平奈緒の1400万円。その次に五輪連覇の羽生結弦のほか、女子団体追い抜きで金の佐藤綾乃と菊池彩花が1000万円で並ぶ。平昌五輪では女性選手の活躍が目立ったが、報奨金ランキングでも上位6人のうち、5人を女性が占めた。

 メダリストには報奨金以外の収入も増える。小平奈緒は日本選手団の主将を務めたので好感度も高く、CMやテレビ出演などのオファーが殺到することは確実だ。また、フィギュアスケート男子で金・銀コンビとなった羽生と宇野も、人気が沸騰している。金メダリストのCM出演は数千万円といわれているが、羽生にいたっては「1億円超えもあるのでは」(業界関係者)などと噂されている。

 JOCや競技団体とは別に、所属する企業からの報奨金もある。高木菜那が所属する日本電産サンキョー(長野県下諏訪町)の永守重信会長は、ソチ五輪の前に「金2千万円、銀1千万円、銅600万円」のボーナスを約束して、世間を驚かせた。平昌の報奨金については金額の明言は避けたが、「会社規定の報酬をお支払いすることになっています」(同社広報担当)とのこと。前回と同程度の報奨金が出れば、高木菜那の報奨金は倍増するかもしれない。

 もちろん、選手にとって大切なのは現金だけではない。日本電産サンキョーは、選手達のスケート靴のブレード(刃)の研磨を担当するなど、技術的なサポートも担当している。同社によると「技術の会社なので、1000分の1ミリまでこだわって調整しています」という。平昌のメダルラッシュは、こういった人たちの献身的な支えによって達成できたのだ。

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メダリストが気をつけたい税金