これで残りは半分の6球団に絞られることになったが、改めて残った球団で外野手を安打数順に3人を主力、2人をサブとして並べてみると下記のようになった(※登録名は昨シーズン)。

西武主力:秋山翔吾(185安打) 外崎修汰(113安打) 栗山巧(84安打)
西武サブ:金子侑司(77安打) 木村文紀(37安打)

楽天主力:島内宏明(131安打) ペゲーロ(130安打) 岡島豪郎(89安打)
楽天サブ:聖澤諒(58安打) オコエ瑠偉(39安打)

ロッテ主力:角中勝也(103安打) 荻野貴司(94安打) 加藤翔平(72安打)
ロッテサブ:清田育宏(47安打) 伊志嶺翔大(18安打)

巨人主力:長野久義(121安打) 陽岱鋼(87安打) 亀井善行(62安打)
巨人サブ:石川慎吾(57安打) 立岡宗一郎(41安打)

中日主力:大島洋平(149安打) 藤井淳志(99安打) 平田良介(58安打)
中日サブ:松井佑介(33安打) 遠藤一星(23安打)

ヤクルト主力:坂口智隆(155安打) バレンティン(113安打) 雄平(86安打)
ヤクルトサブ:山崎晃大朗(53安打) 上田剛史(39安打)

 こうして並べてみるとやはり上位球団の西武、楽天はある程度のメンバーが揃っており、西武は松井稼頭央、楽天は渡辺直人というベテランが復帰したことを考えても、イチロー獲得の重要度は高くないように見える。巨人もベテラン3人が主力で不安は大きいが、オフに獲得した昨年のホームラン王であるゲレーロを外野で起用することを考えると、さらなる大物の獲得を考えづらい。

 これで残るはロッテ、中日、ヤクルトの3球団となったが、その中でおすすめしたいのがヤクルトだ。ロッテには角中、中日には大島というチームの看板となる外野手がいるが、ヤクルトにはそれに該当する選手がいないことが大きい。坂口智隆の復活は見事ではあるが、バレンティンは守備とコンディションに不安が残り、他の顔ぶれを見ても今後大きくブレイクする雰囲気のある選手が見当たらないのが実情である。

 またチームを牽引する役割のベテラン選手も不足している。ヤクルト出身で同じく去就の決まっていない青木宣親の獲得を目指すという報道もあったが、昨年球団ワースト記録を更新する96敗を喫したチームを大きく変える起爆剤という意味ではイチローの方がインパクトが大きいことは間違いない。またイチローにとっても45歳を迎える年に新たにセ・リーグでプレーするということは刺激になるのではないだろうか。

 これまでの報道を見てもイチローの日本球界復帰、そしてヤクルト入団の可能性というのは極めて小さいことは間違いない。しかし低迷するヤクルト、そして球界再編問題以降パ・リーグに圧倒され続けているセ・リーグを盛り上げるイチローの姿を見てみたいというファンは決して少なくないはずだ。ストライプのユニフォームをまとって神宮球場を疾走する。そんなイチローの姿もきっと画になることだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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