首位・広島に14.5ゲーム差のシーズン3位からセリーグ史上最大の下克上を成し遂げたDeNA。横浜時代の98年以来、19年ぶりの日本シリーズ進出は、ベイファンにとって、盆と正月が一緒に来たような気分だったことだろう。

 だが、その陰で、チームにシリアコという“期待の助っ人”がいた事実は、すっかり忘れ去られた感がある。

 ドミニカ出身の29歳・シリアコは、米マイナーや石川ミリオンスターズでプレーした後、2016年10月、DeNAに入団。春季キャンプ中に故障したエリアンの代役としてオープン戦に出場すると、3月26日の西武戦(メットライフドーム)で3安打1本塁打を記録するなど、56打数21安打、打率3割7分5厘と大暴れ。あっと驚く首位打者になった。

 ラミレス監督も「今の調子でシーズンを通して1軍にいれば、25本塁打、80打点をマークできる」と評価し、シーズン開幕戦となった3月31日のヤクルト戦(神宮)では、5番サードでNPBデビューを華々しく飾った。

 ところが、シリアコはオープン戦の活躍がまるで嘘のように、3打数無安打1三振と音なし。結局、出場5試合で13打数1安打0本塁打、7三振に終わり、4月6日、ウィーランドと入れ替わりで登録抹消された。

 その後も変化球に苦しみ、結果が出ないことで自信をなくすという悪循環。シーズン後には戦力外通告が待っていた。

 オープン戦で1位だったロッテもシーズン最下位に沈んだことから、「オープン戦のロッテみたいな選手だった」というファンの声も。やっぱり、オープン戦の成績はアテにならない。

 少し意地悪な言い方をすれば、西川遥輝(日本ハム)が“珍プレーの女神に愛された男”であることを改めて印象づけたシーンだった。

 過去にも、(1)三振&守備妨害の1人ゲッツーで試合終了、(2)まだ2死なのに、捕球したボールをスタンド・イン、(3)2ストライクなのに、三振でスリーアウトと勘違いして離塁タッチアウト、といった具合に、西川が主人公となった珍プレーは枚挙にいとまがない。

 とはいえ、2016年の日本シリーズ第5戦での劇的なサヨナラ満塁弾を機に、B級ニュースからA級ニュースの主役へのグレードアップを印象づけたのも事実である。
だが、珍プレーの女神は、まだ西川に未練たっぷり(?)のようだった。

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再び西川に“珍プレーの女神”が微笑む