広島・丸佳浩 (c)朝日新聞社
広島・丸佳浩 (c)朝日新聞社

 気がつけば、2月1日のキャンプインまであと1ヵ月を切った。プロ野球が恋しくなるこの季節だからこそ、改めて2017年シーズンの出来事を振り返っておきたい。「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に2017年シーズンの“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「世の中、思いどおりにはいかない編」である。

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 前年、自身初の20本塁打を記録した丸佳浩(広島)は、2017年シーズンも自己最多の23本塁打。不動の3番打者としてV2に貢献した。

 圧巻だったのは、6月16日のソフトバンク戦(マツダスタジアム)。2点を先行された直後の1回裏2死、バンデンハークのスライダーを左越えに9号ソロ。4回にもバンデンハークの153キロ直球を左中間に2打席連続の10号ソロ。さらに6回の3打席目もバンデンハークから左翼席に11号ソロ……3打席連続本塁打は、もちろん自身初の快挙である。

「3つともいいスイングができた」と好調をアピールした丸だったが、試合は3対5と惜敗。3打席連続弾でも勝てないとは、まさに「世の中思いどおりにいかない」の見本のような結果となった。

 ちなみに3打席以上の連続本塁打が出たチームは、94勝19敗と大きく勝ち越しているのに、広島はこの日の丸を含めて、3打席連続本塁打を計6回記録しているにもかかわらず、なぜか1勝5敗。「3連続弾が出ると、カープは勝てない」のジンクスがあった。

 だが、丸は翌17日のソフトバンク戦で、見事リベンジをはたす。2対2の8回に岩崎翔の152キロをバックスクリーン左に値千金の決勝弾。「今日のほうが達成感、充実感がある」とチームの牽引者らしいコメントも飛び出した。

 負け試合の3連発より勝利を決める1発こそ価値あり。こういう選手がいるチームは強い。これも野球の鉄則である。広島は7月1日の中日戦で、エルドレッドの3打席連続弾などで8対1と大勝。ジンクスもようやく断ち切った。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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