一方で、韓国や台湾などアジアから来る留学生の場合は、自国での医学部入学が日本以上に狭き門となっていることが背景にあり、“外国人枠”を目指すことがあるようだ。

「YMSの外国人向けコースには自国の医学部に入れない若者たちが来ています。また、台湾の大学では一度ある学部を卒業すると、その学部以外を受けられなくなり、医学部への道が絶たれます。このため、日本の医学部を選択肢に入れることがあります」(同)

 このほか、ミャンマーやベトナムなどでは、医学教育のシステムが脆弱なため、日本の医学部を目指す留学生がいるという。

■留学生の存在は日本人学生にプラス

「海外学生との国際交流は医学教育の上で欠かせない」

 医学部の教授に話を聞くと、こう話す人は多い。実情はどうなのか。一例として、大阪大学の取り組みを紹介しよう。

 同大が発表した論文によると、2009年度から留学生を受け入れるプログラムを始め、08年度にゼロだった留学生が13年度には14人となった。ヨーロッパとアジア出身が多く、臨床実習で6~12人、研究で1~6人を受け入れている。

 この結果、病棟や研究室などで留学生と接触する機会が増え、国際化が進むとともに、指導教員や日本人学生たちの「心の中の国際化」ができた。同大はこう分析している。

 留学生の存在は、日本人学生にとってプラスに作用する可能性が高い。医学部を受験する際、その大学がどれほど国際交流に力を入れているか、検討する材料の一つに入れてみてもいいだろう。

(文/加藤弥)

※週刊朝日ムック『医学部に入る 2018』から抜粋