握手するDeNAのラミレス監督(左)とソフトバンクの工藤監督(c)朝日新聞社
握手するDeNAのラミレス監督(左)とソフトバンクの工藤監督(c)朝日新聞社

 日本シリーズの開幕前日に行われる「監督会議」。この場で決められるのが、シリーズ中に予告先発投手の発表を行うかどうかだ。セ、パ両リーグとも、レギュラーシーズン中には行っているが、日本シリーズでは両軍監督の同意があって行われるという規定になっている。

「どうですか?」

 ソフトバンク・工藤公康監督がシーズン通りに予告先発を行うことを先に持ちかけた。ところが、DeNAのアレックス・ラミレス監督はあっさりとこれを断った。

「うちは、やらない方がいいです」

 その答えは、むしろ当然かもしれない。予告先発を行わない場合に有利と見られているのはDeNAの方だ。両軍の先発ローテーションを担う顔ぶれを見れば、一目瞭然だ。

 ソフトバンクは今季16勝で最多勝タイの東浜巨、同13勝で勝率1位の千賀滉大、198センチの長身リック・バンデンハーク、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の武田翔太と右腕がずらり。逆に左腕の先発要員は36歳のベテラン・和田毅だけだ。

 一方のDeNAでは、右腕が井納翔一、ジョー・ウィーランド、左腕も今季11勝の今永昇太、ルーキーながら10勝を挙げた浜口遥大、3年目の石田健大と3人。右か、左か、相手に迷わせるのには十分な、バラエティーに富んだカードを持っている。

 工藤監督は博多では予告、横浜ではなしという新プランも繰り出したが、これは日本野球機構(NPB)が「片方はやる、片方はやらないというのはできない」と却下。監督会議後に行われた公式会見では「予告しないのはお互い。だから、やりにくいとか、やりやすいとかはないと思う」と、前哨戦での“黒星”を受け流した工藤監督だったが、夕刻、帰路につく車に乗り込む直前に改めて「予告先発なし」に関して問われると、それがあってもなくても、どちらでもいいじゃないかと言わんばかりの自信にあふれていた。

「両監督の『同意のもと』というルールだからね。そうなることも十分にあり得ると思っていました。考えるところはありますよ。投手の調整とかそういうのを加味したら、予測はつきますから」

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