しかし「爆」は違う。「巨」の上を行くスタイルの良さを想像してはならない。「爆」は大迫力の胸や尻を示しつつ、くびれなしを保証しているのだ。全身が豊満であってこその「爆」である。くびれなど何の値打ちもない世界だ。

 しかし、いくら仕事でも、女性ならスリム体形への憧れは捨てきれないはず。太り過ぎは健康をも脅かす。本人に「爆女」で稼いでいくプロ意識が薄ければ、店側が叱咤激励して体形をキープさせることも必要だろう。この店はそれができていた。経営者はかなりのやり手と考えられるが、それには理由がある。
発端はAが働いていた「爆」専門のデリヘルが営業不振で、存続のため経営者が代わりそうになったことだったという。新経営者が暴力団系だと知ったAは、店の権利を200万円で買い取ることを決意する。経営などまったくの素人だったが、放っておけば自分を含め店で働く女性たちが搾取される可能性があったからだ。

 やるからには闇商売はやめようと、平成22年に当局に届け出。税理士もつけ、税金もちゃんと納めることにした。とはいえ売春はやらせるわけだが、その点については店のある地域では売春行為が常態化していたのであまり気にならなかったそうで、罪悪感のなさに驚かされる。

 ともあれ、Aは経営者として邁進。所属女性の一人だったBを店長に雇って管理や面接を一任するなど、業務態勢を整えた。採用希望者への条件は、本番OKであること。客のニーズに応えるためそこだけは譲らなかったが、それ以外は女性本位の営業方針を貫いていく。とりわけ、所属女性の労働条件には気を使った。

【仕事の確保】
売り上げの半分近くを広告宣伝費に充て、客足を確保する。
【収入の確保】
女性の取り分を多くして生活の安定を図り、長く働ける職場にする。
【居心地の確保】
所属女性たちの悩みを聞き、そりの合わない者の間に入って仲良くさせるなど、スタッフが全力で面倒を見る。

 これらの経営努力が実を結び、業界屈指の優良店になったのだ。ちなみにBの収入は、店長の給料23万円+売春婦としての売り上げ。電話受付のみ担当していたCの給料は30万円と悪くない数字である。

次のページ