錦織圭、全仏4回戦は「真のトップ」に立つ“岐路” 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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錦織圭、全仏4回戦は「真のトップ」に立つ“岐路”

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内田暁dot.
全仏3回戦フルセットの末、勝利した錦織圭(写真:Getty Images)

全仏3回戦フルセットの末、勝利した錦織圭(写真:Getty Images)

「こういう試合を勝ち上がったことは、自信にもなる」

 2日間にわたる全仏オープン3回戦を7‐5、6‐4、6‐7、0‐6、6‐4の接戦の末に制した錦織は試合後の会見で、自分に説くようにそう言った。

 「アジアで最高の選手である圭と戦えることは光栄」と自身に敬意のまなざしを向けるチョン・ヒョン(韓国)との一戦は、第4セットで錦織が0-3とリードされた場面で雨天中断となり、翌日順延に。

 「あのまま行っていたら、負けていた」とまでの窮状を認めた錦織は、その恵みの雨を最大限に活用し、力強く生還する。「気持ちを切り替えてプレーしたことが次につながった」と運を認めながらも、それを最大限に活用できた事実を、好材料として彼は捕らえた。

 大きな危機を切り抜けたその先には、早くも大きな山が待ち構える。4回戦の相手は、フェルナンド・ベルダスコ(スペイン)。元世界7位の33歳は、度重なるケガを乗り越え、今再びランキングと成績の上昇過程にいる“フレッシュなベテラン”だ。両者は昨年もこの全仏で対戦し、錦織が2セットを先行するも、ファンを味方につけたベルダスコが追い上げフルセットの大接戦に。今年3月のマイアミ・マスターズでも対戦し、その時にも接戦の末に錦織が勝利した。サウスポーから繰り出すベルダスコの重いストロークは、対戦相手のラケットを弾き、観客の声援を呼び起こす破壊力を秘めている。

 華やかなプレーに加え、彼の強みは“頭の良さ”であると証言したのは、他ならぬ錦織だ。昨年12月に日本で行われた“インターナショナル・プレミア・テニス・リーグ”(各国のスター選手による団体戦)でチームメイトになり、ダブルスでも共に戦った錦織は、ベルダスコの鋭い戦術眼と分析能力に、驚き感心させられたのだと言った。

「すごく良いアドバイスを与えてくれて。きっと将来、良いコーチになるだろうなと思った」

 錦織にとってベルダスコは、初対戦の6年前にはトップ選手との力の差を見せつけられ、その4年後に初勝利した時には、自分の成長を噛み締めた相手でもある。その先達の経験に裏付けられた“テニス知性”にも、錦織は深い敬意を表した。

「若い頃は、エネルギーにあふれている。年齢を重ねればそれは失われるが、代わりに今の僕には経験があり、そうすれば行動も変わってくる。テニスだけでなく、人生と同じだよ」

 どこか達観した面持ちで、33歳は語った。

 対して27歳の錦織は、今の自分が、真のトッププレーヤーになるための岐路に立つことを知っている。「トップ4にいる選手たちなどは、あるべきショットやプレーの仕方などが、他の選手とは明らかに違う」と“真のトップ”を定義したうえで、彼はこう続けた。

「そこに入っていくためにも、もう少し磨きたいところがたくさんある。ひたむきに練習なり試合をやっていくしかないので、自信を持ってやっていきたいです」

 ひたむきに自分を信じ、時を味方につけ、目指す選手像へとつながる扉を開きにいく。(文・内田暁)


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