腎臓がんでも保険適用となったロボット手術 その意義を600件を超える手術を執刀してきた名医が語る (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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腎臓がんでも保険適用となったロボット手術 その意義を600件を超える手術を執刀してきた名医が語る

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ダヴィンチと遠隔隔操作する医師(写真/堀江医師提供)

ダヴィンチと遠隔隔操作する医師(写真/堀江医師提供)

順天堂医院でおこなわれる前立腺がんのロボット手術で、危険な状況に陥った事例は一つもない(写真/堀江医師提供)

順天堂医院でおこなわれる前立腺がんのロボット手術で、危険な状況に陥った事例は一つもない(写真/堀江医師提供)

 現在日本で導入されているロボット手術は「ダヴィンチ」と呼ばれる装置。前立腺がんと腎臓がんの手術で健康保険が承認されている。

 順天堂大学順天堂医院泌尿器科教授の堀江重郎医師は、これまで600件を超える手術をダヴィンチで執刀してきた。

「ダヴィンチは、開腹手術や従来の腹腔鏡手術と異なり、術者は患者の脇には立ちません。手術台から少し離れたコンソールと呼ばれるコックピットのような席に座り、目の前のモニターを見ながら遠隔操作で手術を進めます」

 手でコントローラを、足でフットスイッチを操作すると、その操作通りに患者の体内に挿入されたロボットの腕が動く。しかも、接続されたカメラや鉗子には「関節」があり、自由な角度に曲げられる。つまり、おなかの中で手首や指を自由に動かすような操作が可能なのだ。従来の「棒」の器具とは比較にならない柔軟な動きによって、「開腹手術に近い腹腔鏡手術」が実現したことになる。

 もう一つ、ダヴィンチの大きな特性として「拡大操作機能」がある。非常に繊細な作業をする時、術者の手の動きを縮尺してロボットに伝える機能のことで、ロボットの動きと術者の手の動きの比率を変えることができる。たとえば術者の指は野球のボールをつかむような動きでも、患者の体内にある器具の先端は「砂粒をつまむような」微妙な動きに変えられる。しかも「手ぶれ防止機能」によって、どんなに細かい作業でも、安定した動きで精密に進めることができるのだ。

■出血を最小限にとどめ開腹手術より安全性高い

「前立腺の表面にはサントリーニ静脈叢があり、ここを傷つけると数リットル単位の大出血を招くことになる。しかし、ダヴィンチでは静脈叢を安全に切り離すような難しい操作が確実にできるので、開腹手術よりもはるかに安全性が高まった。これまで当院でおこなった前立腺がんのロボット手術では、出血量は50~100ccと少量です」(堀江医師)


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