次に打者。安打数を増やした選手は、のべ46人のうち12人(13度)で、最多はサブロー(巨人ロッテ)の70安打増。落合博満(中日→巨人)や駒田徳広(巨人→横浜)、金本知憲(広島→阪神)、小久保裕紀(巨人→ソフトバンク)、小笠原道大(日本ハム→巨人、巨人→中日)ら、通算2000安打以上を打って名球会入りした選手がずらりと並ぶ。やはり、真の実力者は、環境の変化にも動じないようだ。

 阪神は関西で飛び抜けた人気を誇り、取材するマスコミも多い。阪神に移籍して安打を増やした選手は、金本と藤井彰人(楽天から移籍)の2人。逆に安打を減らした選手は、石嶺和彦(オリックスから移籍)と片岡篤史(日本ハムから移籍)、新井貴浩(広島から移籍)の3人。新井は全体でワースト5位となる49安打減だが、北京五輪での故障が響いた形。阪神に移籍した野手の平均の安打増減はマイナス2.2安打と、ほとんど変化がなかった。ただし、本塁打は平均でマイナス6.5本。右中間、左中間が広く、右から左への浜風も吹く屋外球場であり、左打者の糸井は本塁打減を覚悟すべきか。糸井は俊足を生かすタイプだけに、二塁打、三塁打が増える可能性が高い。無理に本塁打増にこだわらなければ、成功する可能性は高くなりそうだが、どうか。

 ちなみに、全野手の平均安打増減はマイナス7.3安打。主軸クラス以外の選手を中心に若干の低下傾向はあるが、ほぼ横ばいの成績が多いともいえる。(文=日刊スポーツ・斎藤直樹)