阪神タイガースに入団を決め会見する糸井嘉男選手 (c)朝日新聞社
阪神タイガースに入団を決め会見する糸井嘉男選手 (c)朝日新聞社

 フリーエージェント(FA)宣言した糸井嘉男外野手(オリックス)の阪神移籍が決まり、山口俊投手(DeNA)、森福允彦投手(ソフトバンク)の巨人移籍が確実となった。FA宣言し、移籍先が未定なのは陽岱鋼外野手(日本ハム)だけという状況。過去に国内FA移籍した選手の成績を移籍前後で比較し、傾向を探っていく。

 まずは投手だが、移籍初年度に好成績を残した選手はほとんどいない。国内FA移籍した投手のべ29人のうち、勝ち星を前年から1勝でも上積みしたのは、工藤公康(西武→ダイエー、ダイエー→巨人)、石井一久(ヤクルト→西武)、杉内俊哉(ソフトバンク→巨人)、中田賢一(中日→ソフトバンク)、久保康友(阪神→DeNA)、涌井秀章(西武→ロッテ)と、わずかに6人で7度しかない。

 最も白星を増やしたのは久保の9勝増(3勝→12勝)で、次いで中田の7勝増(4勝→11勝)だ。久保と中田に関しては、移籍前年の役割は主に救援。移籍年に先発に専念したので、勝ち星増は当然ともいえる。中田以外は全員が2度以上2桁勝利を挙げた実績があり、岸孝之(西武→楽天)は当てはまるが、今年初めて2桁勝利(11勝)をマークした山口は真価が問われる。

 逆に、前年より勝ち星を減らした投手は17人もいる。2桁減は加藤伸一(オリックスで11勝→近鉄で0勝)と若田部健一(ダイエーで10勝→横浜で0勝)だけだが、全投手での平均はマイナス2.2勝。巨人に移籍した投手に限るとマイナス1.1勝だが、これは門倉健(横浜から移籍)のマイナス9勝が大きく響いている。

 森福は中継ぎだが、ホールドを増やした投手は豊田清(西武→巨人)、小林宏(ロッテ→阪神)、高橋聡文(中日→阪神)の3人だけ。豊田は抑えで、小林宏は抑えから中継ぎに転向したため、あまり参考にならない。実質的には、高橋だけが中継ぎでホールドを増やしているといえる。

次のページ