この大会では初の第1シードとして2年ぶりの優勝を狙う錦織計。(写真:Getty Images)
この大会では初の第1シードとして2年ぶりの優勝を狙う錦織計。(写真:Getty Images)

 楽天ジャパンオープンは、錦織圭にとって「いろいろ経験させてくれる大会」なのだという。

 “プロ”としてのキャリアを踏み出したのは、9年前のこの大会。成長した姿を日本で披露すべく主催者推薦枠で出場した17歳の錦織は、緊張のあまり持てる力を出し切れず、悔いを抱えて有明コロシアムを後にした。

 歓喜の時は、初出場から5年後の2012年に訪れる。1万人のファンとともに祝福したジャパンオープン初優勝は、彼にとっても実に4年半ぶりとなる、待望のツアー2勝目であった。

 2度目の同大会優勝は、ただただプレッシャーとの戦いであった。2014年、全米オープンの準優勝により、過激なまでに急増した期待と注視。当の錦織も、自分自身への期待感がある。そのあらゆる重圧を乗り越えたとき、彼はコート上で「限界を乗り越えられた」と大粒の涙を流した。

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