その西岡と同様に、やはりデビスカップで日本勝利の立役者となったのが、大会主催者推薦枠(WC)で出場するダニエル太郎だ。昨年もWCオファーを受けながら、「下部大会に出てポイントを稼ぎたい」との意向であえて欠場したジャパンオープンに、今回はトップ100選手として満を持して出場。今年はオリンピックでも3回戦に勝ち進むなど、着実に実力と自信も積み重ねている。ファンの声援をプレッシャーではなく味方にできれば、今大会の台風に目になるポテンシャルを秘めた大型プレーヤーだ。

 そしてこのダニエル同様、オリンピックでの経験と勝利を実らせ躍進を見せているのが、杉田祐一である。28歳の誕生日を迎えたばかりの杉田は、年齢的には日本勢の兄貴分。それでもオリンピック出場やその後のATPツアーでの活躍など、新たな体験の連続に新鮮な喜びを覚える杉田は、今もっともフレッシュな選手だと言えるかもしれない。

 ジャパンオープンは、現在日本で開催される、唯一のATPツアーである。だからこそ日本人選手たちの、「この大会で存在感を示したい」との想いは、当然強い。だが同時に世界5位の錦織を筆頭に、今や日本人選手たちにとって、ATPツアーで戦うことは日常の一部でもある。

 錦織は日本での戦いについて、「あまり周囲が気にならなくなってきた」と言った。平常心に適度な高揚感をブレンドさせ、錦織が、そして日本勢が、有明コロシアムで世界最高峰のプレーを披露する、熱い一週間がいよいよ始まる。(文・内田暁)