女子シングルスでは、奥原希望(日本ユニシス)と山口茜(再春館製薬所)の2人が代表だ。いずれも、高校時代に全日本のタイトルを獲得し、スーパー高校生と呼ばれた2人。とくに奥原は昨年、ヨネックスオープンジャパンで初めてSSを制すると、SSファイナルも制覇と大ブレークした。今季も、全英オープンの女子単で日本勢39年ぶりに優勝するなど、好調を続けている。ネコ科動物のようにすばしこく、足を止めずに辛抱強くレシーブし、相手にストレスをかけ、自分からはミスをしない。すると「さらに厳しいコースを狙ってアウトになるし、フットワークが鋭いので、速くタッチされてペースを乱される」(ある対戦相手)。小柄ゆえの攻撃力不足は、明晰(めいせき)な頭脳から組み立てる配球の妙で補う。もつれた第3ゲームもほぼモノにする勝負強さは、そこから生まれている。

 勝山高校1年でSSを制した山口は、やはり小柄ながら身体の強さからくるパワフルなスマッシュ、連続攻撃が身上。今季入社した再春館製薬所は拠点が本県にあり、大地震に見舞われた地元の不屈をみせてほしい。

 ほかに男子シングルスでは、賭博問題で資格を抹消された桃田賢斗に代わり、日本勢1位のベテラン・佐々木翔(トナミ運輸)が出場する。2回目の五輪となる剛腕サウスポーの33歳。ロンドンでは、金メダリストとなる林丹(中国)と互角の名勝負を演じ、ベスト8に入った。五輪出場がなければ、6月の国内大会限りの引退を視野に入れていたが、「それが2カ月延びた。できるだけのことをする」と有終の美を飾るか。

 男子ダブルスは、国内第一人者の早川賢一/遠藤大由(日本ユニシス)。世界ランク最高は2位で長くトップ10をキープし、SSの優勝はないが全英オープンでは3度の準優勝、世界選手権3位の実績がある。スピーディーで目まぐるしい攻撃は圧巻だ。混合複には、数野健太/栗原文音(日本ユニシス)が滑り込んだ。前回の池田信太郎/潮田玲子に次ぎ、日本からこの種目の出場は2組目となる。15年のヨネックスオープンが、本格的なペア結成。キャリアが短いだけに、コンビネーションやレシーブなどに課題は多いが、どちらも屈指の攻撃力が魅力だ。

 北京では最高4位、ロンドンでは銀と、ステップアップしてきた日本バドミントン勢。さて、今回は……。

(文・楊順行)