日本のZ世代が
「嫌韓感情」を持たない理由


 ただ、読者の皆さんの中には、日本の若者が韓国の文化にハマっていることに違和感を持つ人がいるかもしれません。

 本連載のテーマから外れるため、日韓の対立の歴史について詳しい解説は避けますが、かつての日本には「嫌韓感情」を抱く人が少なくなかったからです。

 特に日本の中高年層には「両親や祖父母が第2次世界大戦を経験していて、嫌韓感情を持っていた」「その影響を受けて、自身も韓国にあまりいい印象はない」という人もいるでしょう。

 ところが今、日本のZ世代に話を聞く限り、嫌韓感情を持つ人は少数派になりつつあります。このことはデータでも裏付けられています。


 内閣府が毎年発表している「外交に関する世論調査(令和4年10月調査)」によると、18~29歳のうち「韓国に親しみを感じる」と答えた人は64.7%(※)を占めていました。

※「親しみを感じる」と「どちらかというと親しみを感じる」の合計値。以下同

 一方、年齢が高くなると韓国に親しみを感じる人は減る傾向にあり、30~39歳(54.7%)、40~49歳(41.9%)、50~59歳(46.5%)、60~69歳(45.2%)、70歳以上(39.1%)という結果でした。

 嫌韓感情に世代間ギャップが生じている主な要因は、やはりZ世代の両親や祖父母に戦争体験者が少ないことでしょう。

 それどころか、Z世代の祖父母(特に祖母)には、2000年代前半に韓流ドラマ「冬のソナタ」にハマっていた人が一定数いるはずです。

 嫌韓感情などすっかり忘れて“ヨン様”に熱狂していた“おば様”に、今ではZ世代という孫がいるわけです。

 そしてZ世代の両親は、早ければ30代の頃に「少女時代」「KARA」などのK-POPブームを経験しています。いわばZ世代は、嫌韓感情を持つ人が近親者にいない中で育った「韓流ネイティブ世代」なのです。

 だからこそ、今回の韓流ブームは、かつてないほど大きな熱量を帯びているのではないでしょうか。その意味を込めて、筆者は冒頭で「シン・韓流ブーム」と表現しました。

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韓国の若者たちから見た日本の印象は…?