●東京の紙食事券販売は瞬間蒸発する可能性が高い

 申し込み方法の詳細についてはかなりわかってきたが、やはり混乱する可能性が高いと思わざるを得ない。

 デジタル食事券より紙食事券を多くしたのは「誰にでも、できるだけ平等に購入できるように」という意図があったからだろうが、その紙食事券の申し込みもWebを取り入れたことで、スマホ弱者ネット弱者には非常に不公平な販売方法になってしまった。

 しかも、携帯端末限定になった。Webと専用はがきの配分は販売状況を見て判断するということだが、専用はがきによる申し込みより、スマホでの申し込みの方が圧倒的に多くなるのは目に見えている。

 そうなると、紙食事券300万セットの大半(おそらく250万セット程度)が、スマホでの申し込みになる可能性が高い。デジタル食事券の125万セットもスマホ申し込みになるので、東京都の販売数の9割近くがスマホ申し込みによる販売になるだろう。

 これでは、「誰にでも優しい販売方法」とは、到底言えない。

 しかも、すべてが先着順だ。先行して販売されている大阪、京都、愛知などのように、Web申し込みは希望者が殺到して「サイトがつながらなかった」「申し込もうと思っても申し込むことができず、結局買えなかった」というクレームが非常に多い。

 東京の場合、紙食事券は300万セットしかない。1度に2セット申し込むことができるので、全員が2セット申し込めば150万人が申し込んだ時点で販売終了となる。しかも、それが複数回に分けて販売されるため、競争率は非常に高くなるだろう。

 実際、京都では、10月20日に販売した食事券20万冊が約40分で完売。さらに26日は2回に分けて25万冊ずつ販売したが、それぞれ約45分、約40分で完売したと報じられている。

 京都も日本屈指の観光地だが、Go Toトラベルで東京を訪れる観光客も多く、東京で食事券を使って飲食をしたい人は、かなりいるはずだ。東京都の人口は約1400万人、首都圏の人口は約3700万人だが、全国どこからでも申し込むことができるので、購入対象者は約1億4000万人になる。それゆえ、東京は京都を上回る競争率になる可能性が高い。

 専用はがきによる申し込みも異常な競争率になるだろう。

 専用はがきがどのくらい配布されるかはわからない。

 ここでは150万セット(ただし筆者は50万セット程度と見ている)と仮定し、郵便局など1500カ所で配布されたとする。

 その場合、たとえ申し込みを1人1セットに限定しても、1カ所平均1000人で配布(販売)は終了する。それが複数回に分けて配布されるとなると、1回あたりわずか数百人しか専用はがきを入手できない。

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おつりが出ないデジタル食事券