まずは洗い物や片付けを手伝うところから始めるのがいいと思います。そうするうちに少しは段取りがわかります。これまで何もせずに座っていた人は特に、そこから始めましょう。お膳を拭く。そして何を並べるか。どう手伝うと喜ばれるか。そして食後の片付け、洗い物。そう、まずは下働きで、水仕事に慣れ、偏見を振り払います。

 そして調理に挑みます。ここでもやはり「洗い物を増やさない」を念頭に置いてください。男性の調理には食器や調理器具の無駄が多い。例えば小皿をどんどん使って調味料を作って、それをボウルに入れてさらに混ぜるので、汚れた小皿が増える。洗いながら使えば1枚で済む。いや、最初からボウルに入れていけばいいかもしれない。

 この段取りというひと手間が全体の効率をとてもよくします。

 例えば中華料理は、調味料や食材を全部準備して、並べておいてから中華鍋一本で様々に調理をする。だからまず、全体の工程表を頭に描いてから望まなければいけないのです。いちいち準備しながらやると、時間もかかるし、タイミングもズレるのでおいしくならない。キッチンは汚れ、洗い物で溢れ、素材の無駄も出てしまう。これを繰り返すと「もうやらなくていい!」となってしまいます。

 しかし、男性も仕事ではこれまで段取りを考えてやってきたはずです。その気になれば、むしろ奥さんよりも段取りよく、こなすことができるようになるはずです。

 第一段階を乗り越えれば、男性のほうが実は調理には長けているとすら考えられます。男性のほうが火加減が大胆で、ニンニクやトウガラシも大胆に投入し、腕力もある。だから中華料理など重たい鍋を振り続けなくてはいけないものは、特に得意なはずです。

 若い男性で料理自慢になった人は、何か1品と決めて、まずその料理を得意になる人が多いようです。中でもパスタ自慢が多い。やはりフライパンの振り加減が決め手になるので、男性に合った料理と言えます。「パスタならお任せ」から始めて、麺類を制覇していく方法はお勧めです。

 そして奥さんからありがたがられるのが、ズバリ朝ご飯です。どうせ早く起きてしまうならば、基本の献立が決まっていて、それでいて工夫のしがいもある朝ご飯を任せてもらう。そして昼はパスタを作る。そうやってできる料理を増やしていくのがいいでしょう。これは結構楽しい。料理入門のための本は多いものですが、お勧めはNHKの『きょうの料理ビギナーズ』です。とてもわかりやすいです。

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