■アジア予選の魅力も半減?
それであれば、4チーム×12組で、3位チームからも決勝トーナメント進出チームが出る方が、全体的な公平性や最終戦の魅力は保たれるかもしれない。ただし、この場合はグループの試合だけで72試合が消化され、決勝トーナメントを合わせると104試合にまで増える。1位通過プラス2位の上位4チームにしてトーナメントを16チームにすれば全体で88試合にできるが、それこそ最終戦は消化試合だらけになるだろう。これでは、実現性は低すぎると言わざるを得ない。
こうしたフォーマットの不具合に加え、大会の権威低下とFIFAの拝金主義もささやかれるところではある。日本のいるアジアで言えば、出場枠が8から9になると見込まれている。このロシア大会に向け、アジア最終予選は10チームで行われた。しかし、このほとんどのチームが出場権を得る計算になる。日本の目線で見た時に、予選の緊張感は正直なところほとんどなくなるだろう。日本が「ドーハの悲劇」で出場権を逃した1994年アメリカ大会は24チームでの開催と、拡大が予定されているものの半数のチーム数だった。そこでアジアの出場枠は2だったが、全体が2倍になったのに対してアジアの出場数は4倍以上になる。インファンティーノ会長の改革案が、中国マネー、東南アジアマネー、オイルマネーを得るためのものだと揶揄されるのは、この部分にもある。
いずれにせよ、W杯48チームへの拡大は完全な既定路線であり、2026年大会の開催地は80試合開催を前提に決定したことからも、引き返せないところまで来ている。FIFAの最高責任者自身が「完璧なフォーマット」と表現したチーム数を破壊する以上、大会としてはどれだけマイナスを小さくできるのかが焦点になるはずだ。