カチカチに乾燥した昆布でできた細い棒を3本、子宮口に差し込まれ、病室に戻って再び陣痛を待つ。
時々別の部屋から、
「ガアアアーーー!!!!」
という、分娩中の叫び声が漏れ聞こえてくる。
ああ、早くこの恐怖を終わらせて赤ちゃんをこの腕に抱きたい。
この時にはもう、早く陣痛が始まることを心待ちにしている自分がいた。
しかし、この日も陣痛が来ることはなく、Xデーは翌日に持ち越された。
翌日、朝には昆布の力で3センチほど子宮口が開き、わずかではあるが陣痛らしき痛みが始まった。
その痛みは昼にかけて少しずつ強くなってはいたが、進みが遅いので、
「促進剤を入れましょう」
ということになった。
破水しているので、あまりのんびり構えていられないのだ。
破水してから24~72時間以内にお産、というのが目安らしい。
この時、私は陣痛ったって大したことないんじゃないか、案外耐えられるんじゃないかと自信を持ち始めていた。
どんとこい! という気分にすらなっていた。
30分後にその自信は、木っ端微塵に粉砕されることになる。