■週3回は実は週6日 入場日数規制のまやかし

 次に重要なのは、いかに足繁くカジノに通わせて大金を使わせるかである。私は昨年、ラスベガスのカジノを見学したが、その尋常でない雰囲気の中に長時間いると、自分が、本来は違法である賭け事をやっているという意識が徐々になくなっていくようだ。そこにいる限り、カネを賭けてみたいという欲求が出て来るものである。観光客なら、帰りの飛行機の制約があるが、年金生活者にはそういう制約はない。ついつい長居する者も多くなるだろう。

 それを規制するのが入場回数規制だ。前述したとおり、この法案では、1週間で3回、28日間で10回という上限が設けられている。週3回でも入り浸り状態だと思うが、実は、ここに盲点がある。1回=1日ではないということだ。法案では、一回当たりの滞在可能時間は24時間。その間なら何回でも出入りできる。それを前提にカジノ業者は様々な工夫を凝らしてカジノに「入り浸る」環境を作っていくだろう。

 例えば、このようなことが可能だ。図を見ていただきたい。一日目の月曜日17時にカジノに入り、徹夜でカジノをやる。24時間やって火曜日の17時にカジノを出て、カジノ業者が渡す特典の宿泊券でカジノ外のホテルに泊まり、水曜日の昼頃起きて、これまた業者にもらった無料のビュッフェクーポンで食事を楽しんだ後、再び夕方17時にカジノに入る。翌日の木曜日17時までカジノにいて、またクーポンで金曜日昼まで宿泊し、ビュッフェで食事。夕方17時にカジノに入り、翌土曜日17時までカジノ。その後クーポンで宿泊。翌日日曜昼にホテルを出て、その日はカジノに入れないので、場外馬券売り場などで時間を潰して、クーポンで宿泊。翌日月曜日になると新たな1週間が始まる。

 これを3回繰り返すと、21日間で9回入場となるが、実質的には、21日間で18日入場と言って良い。それでもまだ、28日10回の制限には届かない。そこで翌週月曜17時に入って、翌火曜日までカジノを楽しめる。こうして、23日間で実質20日間のカジノ入り浸りが可能となる。

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