著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
この記事の写真をすべて見る
週3回、4週10回は本当に厳しいのか?
週3回、4週10回は本当に厳しいのか?

 カジノ法案の審議が参議院で始まった。このまま行けば、今国会中の成立は確実だ。

【図】一目でわかる!入場回数制限の盲点とは?

 そもそも、カジノがなぜ、日本に必要なのか。

 安倍晋三総理は、カジノで海外からの富裕層を日本に呼び込むという。しかし、自治体の試算などでは、客の7~8割を日本人と見込んでいて、政府の説明とは矛盾している。しかも、この法案によれば、粗利の7割はそれを運営することになるであろう海外のカジノ企業に持って行かれてしまう。

 カジノなどなくても、海外からの訪日観光客は急増中だ。彼らは、日本のパチンコや競馬目当てに来るわけではない。伝統文化、自然、温泉、日本食、アニメなどの文化、田舎の人情などなど、日本の魅力が海外の人々に理解され、多くの人を惹きつけているが、彼らが憧れる「日本的なもの」と「カジノ」は対極にある。

 逆に言えば、カジノが好きな人に日本に来て欲しいと思う日本人はいるのだろうか。観光客の数だけ、あるいは、消費金額を増やすことだけを目的にした政策に意味があるのか、ちょっと考えればわかりそうなものだが、トランプ大統領への貢物としてどうしても成立させたい安倍総理、利権に目がくらんだ自民党と日本維新の会、さらには国民民主党など一部野党の議員たちが、何が何でも今国会中に法案を通そうとしている。もちろん、関係省庁の官僚たちも、21世紀最大の「利権創造」だとはしゃいでいるようだ。

 さらに、残念なのは、自らの知恵のなさが原因でカジノしか思いつかない首長も誘致合戦を繰り広げている。大体その顔触れを見ると、品がなく、自分たちの伝統文化や町の魅力に誇りを持てない人々だと言っていいだろう。このような首長は、「知恵なし、品なし、誇りなし」の三無首長と呼ぶにふさわしい。

■笑える「世界最高水準の規制」

 ギャンブル依存症対策法が6日に成立したが、そんなもので、依存症が防げると思ったら大間違いだ。安倍総理は、世界最高水準の規制を導入するので、心配ないと言うが、この「世界最高水準」という言葉が出てきたときは要注意だ。原発再稼働のために無理矢理再稼働最優先で作った原発の規制基準を当初、安倍総理は、「世界最高」の規制だと言っていたが、欧米の基準の方が日本より厳しいことがバレると、今度は、「世界最高水準」と言い換えた。「世界最高」に「水準」を付け加えて、幅を持たせ、嘘を隠そうとしたのである。

次のページ