独立から27年。中央アジアの国々は、曲がりなりにも国らしくなってきた。少しずつだが豊かになってきている気がする。

 しかしキルギスは、鉄道整備には予算がまわらないのだろう。運行している路線は少ない。それでもモスクワを結ぶ列車は、どん底の経済時代の残影を慈しむかのように維持されてきた。出稼ぎを支えた1日1便のモスクワ行き列車。ビシュケク発モスクワ行きには17番列車という番号が振られている。

 僕が乗ったのもこの列車だった。タシケントに行く予定だったから、途中のシムケントで下車することになるが、そのまま乗っていけば3日後にはモスクワに着く。

 車両は古かった。旧ソ連を走っていた老朽化した車両が中央アジアにまわされてきたのだろう。車内はすいていた。列車はモスクワ時間で運行されていた。キルギス時間の正午すぎにビシュケクを発車した列車は、カザフスタンに入国し、午前1時頃、シムケントに着いた。列車を降りたのは僕だけだった。

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