「あるハーフの生徒の質問箱に『日本から出ていけ』と書き込まれる事案があった。高校生の吐く暴言ってけっこう容赦がなく、今回のケースは人権問題にもつながるし、学校もかなり慎重に対応しています。本人がたまたま悩みをこぼしたから判明しましたが、SNSトラブルは誰が投稿したのか証拠をつかむにも時間がかかるし、解決のハードルが高い」(公立高校教員)
匿名制ではあるが、中傷内容から「実はあの子が投稿したのでは」と疑心暗鬼に陥ることもある。
一方、投稿者がわかる場合でも、誰に宛てたメッセージなのかわからずトラブルになる事例も。
ある私立高校ではLINEの「ステータスメッセージ」欄に一喜一憂する生徒が増えているという。
「揉め事が起きたとき、生徒の一人がLINEのステータスメッセージ欄に『むかつく』といった漠然としたコメントを書いたことがあった。それを見た喧嘩相手の生徒が『自分のことだ』と思い込み、別のグループに『感じ悪い』と共有し、余計に揉め事がヒートアップしたこともありましたケースもあります」(私立高校教員)
どちらの事例も投稿者や対象が分かりづらく、従来の暴力や集団無視などの見えやすいいじめとは異なるのが特徴だ。不登校新聞の編集長、石井志昂さんは「いじめの場所は教室からスマートフォンやアプリの中など、大人からはより見えにくいところに移っている」と指摘する。
SNSによって変わりゆく子どものいじめ問題。取り巻く大人たちの対応も、変化が求められている。(AERAdot.編集部 福井しほ)