


「男は仕事、女は家庭」。そんな高度成長期の価値観と一線を画す、若い世代が生まれている。自宅の自室で小中学生向けの家事講座「粂井塾」を開いている高校3年生、粂井(くめい)龍三さん(17)は、家事によって「人との共生や人のために動くこと」が学べると話す。「秘密結社 主夫の友」の杉山ジョージさん(41)が、最年少メンバーの思いを聞いた。
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「秘密結社 主夫の友」として活動を始めてもうすぐ4年がたつ。おかげさまで多くのメディアに取り上げていただき、今ではWEBメディアでコラムの連載もさせてもらっている。もちろん賛否はあって「わざわざ主夫宣言なんてしたら奥さんがかわいそう」「家事をするなんて普通のこと」など苦言もいろいろ。中には「要はヒモだろ」「男のくせに」的なものもある。ちゃんと記事を読んでいただけるとわかるはずなのだが、仕事もしているし、収入もあります。とはいえ、こういった人たちの意見がわからないわけではない。
僕ら団塊ジュニアが育ってきたのは高度成長期の後半からバブルに向けて、本当にたくさんの人たちが必死になって働き、それを女性が支えるスタンスがスタンダードだったわけで、そのころに培ってきた「男は仕事、女は家庭」という価値観からすれば、そう言いたくなるのもわかる。
実際、主夫の友のメンバーも中学生や高校生のころは自分たちが「主夫」を名乗ることになるとは思っていなかっただろう。割と大人になってから必要に迫られたり、いろいろな事情で今のスタンスに落ち着いたわけで、もしも何もなければ、僕らに苦言を呈している人たちと同じような考えを持っていたのかもしれない。
■大人の考えを変えるのは難しい
そして、活動をしている中で感じるのは、僕らの話を聞いたところで変わらない人は変わらない、ということ。当たり前のことだが、よほどのエポックメイキングでもない限り人の考えは変わりづらいし、変えること自体がそれまで自分が信じてきた価値観を否定することにもなりかねない。だとすると、あまり価値観が固まらないうちが勝負なのではないか?