― 原発については3つの検証(福島原発事故の原因、健康・生活への影響、避難計画)をしっかり進め、その結果を見極めます。将来的には原発に依存しない社会を目指し、県民の安全・安心を守ります。―
一見、脱原発派なのかと勘違いする人もいるだろう。しかし、この文章には中央官僚特有の「騙しのレトリック」が満載である。
まず、「検証」をただ「進め」、「結果を見極めます」として、検証の結果、再稼働を認める余地を明らかに残した。しかも、認めるかどうかについて、全くイーブン、五分五分の書き方である。また、「将来的には」「原発に依存しない社会を目指し」として、原発ゼロにするとは書いていない。「目指していればよい」「結果については約束していない」と逃げ道を作る、霞が関らしい文章だ。もちろん、県の検証委員会の結果が出ないうちに、安倍政権と東電からの再稼働承認要請があれば、検証結果が出たらもう一度考え直すが、それまでは暫定的に再稼働を認めるというような対応を取る恐れが強い。
要注意なのは、ホームページでの記載は証拠として長く残るが、選挙演説はそうではないことだ。
例えば、「検証には時間がかかる」と言えば、それまでは動かさないように聞こえる。「再稼働は原則認めません」と言うかもしれないが、「原則」なら例外有りということだ。さらに苦しくなれば、「原発は一切認めません」などと言うかもしれない。しかし、印刷された党の公約さえ信用できないのが安倍政権だ。安倍政権が支持する候補者も同じであると考えるのが正しい姿勢だろう。
■小泉元総理の「応援」でスタートダッシュに成功した野党候補
自民党が行った情勢調査では、当初3ポイント程度自民候補リードと出た。市民連合側から見れば、無名だった池田氏としては上々の滑り出し、これなら十分逆転できると、楽観ムードが広がった。
さらに、23日には小泉純一郎元総理が新潟で講演し、事実上の「池田氏の応援をする」というサプライズがあった。小泉氏の講演は1年前からセットされていたのだが、今回の講演では異例なことが起きた。小泉氏は、2014年の東京都知事選で細川護熙元総理の選挙応援をして以来、選挙応援は一切しないという原則を通してきた。米山前知事が当選した際も、裏では米山氏を激励したりしたが、マスコミの前で応援することはなかった。そこで、今回も、裏で激励はしてもマスコミの前では、従来の立場を踏襲するのではないかという見方もあった。