著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
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新潟県知事選のカギを握る小泉親子=2008年撮影 (c)朝日新聞社
新潟県知事選のカギを握る小泉親子=2008年撮影 (c)朝日新聞社

 新潟県知事選挙が5月24日に告示された。6月10日の投票に向けて既に激しい選挙戦が展開されている。この知事選については、5月14日付の本コラムで取り上げたばかりだが、そこで予想したとおり、この選挙の結果が、国政に重大な影響を与える状況になっている。その最新の状況の舞台裏を中心に紹介しながら、今後の安倍政権の行方を左右する選挙の帰趨を占ってみたい。

【写真】新潟県知事選のカギを握る小泉親子

 森友、加計、自衛隊日報、さらには財務次官のセクハラと、安倍政権に関するスキャンダルが続々と出てきて、もう終わりだなという雰囲気が漂ったのもつかの間、信じられないことに、安倍政権の支持率も下げ止まり、さらには、回復の兆しさえ見せ始めた。

 ゴールデンウィーク明けに審議復帰に応じた野党側には、柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人質疑、加計孝太郎氏と安倍総理が2015年に会談して獣医学部新設について安倍総理が「いいね」と言っていたことを示す愛媛県の新文書の提出、昭恵夫人の関与が濃厚であることを示す森友学園と財務省の膨大な交渉記録の開示など、願ってもない追い風が吹いているにもかかわらずだ。

 テレビ局の反応は鈍く、日大アメフト部の「違法」タックル問題で、これらのニュースはほとんどかき消された。国会審議に応じて安倍政権の不祥事を徹底追及すると言っても、テレビが大きく取り上げてくれなければ、多くの国民には伝わらない。

 25日には、安倍政権最大の目玉である「働き方改革法案」が、議論の基礎とされた厚労省のデータに新たな不備が発見される中で、易々と強行採決され、今国会中の成立の可能性が高まった。ちょうど、その日、籠池泰典夫妻が釈放されたが、籠池氏が面白おかしく話しても、重大な新事実が出てこない限り、「籠池砲」炸裂という状況になることはなさそうである。

 このように、国会では、手も足も出ないという状況の中で、野党への落胆も広がる。政治不信も極限に達していると言って良いだろう。

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