しかし、この研究には、後続研究があります。「実験で声をかける女性が美人かどうかで結果は違うのではないか」というツッコミに基づく実験が行われた結果、美人ではない場合は逆効果だったとされています。

 このことから分かることは、ドキドキは、もともとうっすらある感情を強める働きがある、と解釈するのが妥当だろうと思います。ということは、優華さんは、ドキドキするたびに、夫への嫌悪感が強まるということが推測されます。そういう実体験がある方も少なくないと思います。

 なので、夫は、優華さんがドキドキを感じないように、安心な状況を作る方が、状況を悪化させない可能性が高いのです。ただ、それは悪化させないだけで、改善するわけでもないのでそういう時に人は、一発逆転を狙って「何か」をしたくなってしまうのです。

 そう考えてみると、恋愛が得意な人は、相手を見て相手が警戒しないで済む間合いを取るのが上手なのに対し、苦手な人は、相手ではなくて自分のペースで話しを進めようとしたり、一気に距離を縮めようとしてうまくいかなくなる傾向があるように思います。そんなのは恋愛のマニュアル本に書いてあるようなことですが、分かっていてもなかなか実行するのが難しいことです。

 問題はその「わかってはいるけど」というところです。福田氏も山口さんも優華さんの夫も理性では分かっているので、それ以上理性で何かを考えても状況がそんなに変わるとは思えません。衝動というのは、その瞬間に理性を超えてしまうのものですから、冷静な時に理性で考えた通りに、衝動が高まった時にもできるとは考えられないのです。

 水原希子さんが「モデルは物じゃない」と声をあげられましたが、残念ながら、現在の日本では人を物のように扱う場面が多いように思います。福田氏も山口さんも相手を物扱いしているというのは分かると思います。物として扱うことと、人として扱うことの大きな違いは、その対象に共感的に関わっているか、です。

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夫婦間の問題は自然消滅しない