神奈川県座間市で男女9人の遺体が見つかった事件をきっかけに、SNSに「死にたい」と書き込む若者たちの命をどう守っていくのか試行錯誤が始まっている。不登校新聞の編集長、石井志昂さん「これからは多くの人が『不安な発言』をくり返す10代と出会う機会が増えていくかもしれない」と指摘する。そのときは、どうしたらいいのか。多くの当事者に関わってきた、石井さんの結論とは。
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先日、15歳の男の子が新聞社を訪ねてきました。ネットで私のことを調べ「話をしたい」と訪ねてきてくれたのです。聞けば彼は、いま希望を持っているそうです。
それは「通り魔に刺されて殺されたい」ということ。
彼が「最近、描いた」という通り魔の絵には、たしかに「hope」と書かれています。SNSで自殺願望者を誘い出し殺害した座間事件のことがあったせいか、その発言に私も驚きました。
彼はなぜ「通り魔被害」を希望しているのか。話を聞いてみるとその背景が見えてきました。
■大人には見えない荒れた学校
彼は昨年9月から不登校中という現役バリバリの当事者です。
彼の通っていた中学校は「とても荒れていた」そうです。ほとんどの生徒は終始イライラし、人間関係はギスギスしていました。教室のいたるところでいじめが頻発し、教室内は「いつ大爆発がおきるかわからない雰囲気」だったと言います。
彼にとって多少の息抜きになっていたのは部活でしたが、やがて部活内でもいじめが始まりました。いじめの標的は次々と変わり、彼自身も標的になりました。
部活の顧問に相談すると、顧問は相談内容に激怒。「つらいことなんて大人になったらいくらでもある!」と彼を一喝し、部活メンバーには「これ以上、問題を起こしたら解散させる」と怒鳴りました。いじめが「教師を煩わせるトラブル」程度にしか見えなかったのでしょう。