今季まだインフルエンザにかかっていない人は、どうしたらこのままかからないで済むのかと気が気ではないだろう。逃げ切るには、何よりも大事なのが「予防」だ。毎日数多くのインフルエンザ患者を診ている医師が、予防のポイントを教えてくれた。
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2月の声を聞いても衰えることを知らないインフルエンザの猛威。周囲に何人もかかった人がいて、今度は自分の番だろうか、と心配している人も多いだろう。
茨城県つくば市・坂根Mクリニック院長の坂根みち子医師は、予防のためには、症状が軽いうちにこまめに対処するとともに、感染を広めないような注意が必要だと訴える。
大事なのに見落としがちなのが、感染者と接触時のこまめな消毒だ。これについて意外に無神経な人が多いという。
「特にマスクの扱いが雑な人が多いです。自分が咳をしているのにマスクをつけていない人もいれば、マスクをつけていても付着したウイルスに頓着しない人もいる。診察のとき、患者さんに『マスクをはずして』と言うと、大概皆さん、顎にかけるか、もしくはつけていた面を下にしてそこらへんに置くんですね。しかし、その時点で顎や置いた場所にはウイルスがついているわけです。もちろん時間が経てば死滅しますが、しばらくは生きています。そこに触った手で誰かと接触したりすればそこからたちまち感染は広がります。ですからきちんと予防するには、『マスクテクニック』をしっかり守って、さらに、ウイルスがついた可能性があるところをすべて、すぐにアルコール消毒をする必要があるのです」
坂根さんも診察のときには、まず聴診をしてから患者さんにマスクをはずしてもらう。その後、患者さんののどを診て、患者さんと一緒に手指のアルコール消毒をする。揉み手をして擦り込むことがポイントで、そのうえでようやく他人とやりとりしてもうつさないと教える。
「医療従事者の場合は、『一処置、一手洗い(消毒)』が基本ですが、一般の方の場合も『一タッチ、一アルコール消毒』、つまり感染者と接触するたび、やりとりするたびにアルコール消毒をすることがお勧めなのです」